2017 Fiscal Year Annual Research Report
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16H04034
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| Research Institution | Nagoya University |
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Principal Investigator |
宮崎 州正 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (40449913)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 昌司 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (00731556)
川崎 猛史 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (10760978)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | ガラス転移 / 非平衡物理学 / 物性基礎論 / 化学物理 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
(1) 非平衡系のガラス転移について：まず非平衡相転移の一種である吸収状態転移の典型例である可逆・不可逆転移をコロイド系を例にとり、その解析を行った。低密度と高密度の両極限ではよく調べられているが、中密度領域特にジャミング転移点付近の解析は十分ではない。我々はこの密度領域における多彩な非平衡相の挙動を解析した。また、アクティブマターのモデル解析を行った。従来のモデルは、非平衡ノイズに「生物らしさ」を埋め込んだものが主流であった。我々は、非平衡モデルと平衡系をシームレスに繋げるために、新規なアクティブマターのモデルを考案した。その構造揺らぎを解析した結果、超一様性と呼ばれるジャミング系などに普遍的に観測される長距離相関を観測した。さらに粒径比が大きく異なるコロイド二成分系のガラス転移のレプリカ理論を構築した。
(2)非一様系のガラス転移について：ランダムピニング系の、シミュレーションを行った。我々はこの系の理想ガラス相における残留エントロピーとダイナミクスを精密に計算し、metabasin中のダイナミクスが残っていることを明らかにした。これはランドスケープの階層性に由来する残留エントロピーが有限であることを意味している。
(3)非従来系のガラス転移について：ultrasoft系の解析を行った。この系は、クラスター状に凝縮し、それがガラス転移を起こす。その挙動は動的特異点とそれにともなう対数緩和など特異なダイナミクスを示す。我々は、動的特異点近傍では、Stokes-Einstein則の破れが非常に大きいことを見出した。これは同様の動的特異点を示す系では見られない特異な現象である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 非平衡系のガラス転移について：可逆・不可逆転移とジャミング転移の付近の解析は始まったばかりであるが、非自明な結果を出ている。アクティブマターについては、新規モデルを考案したもののその成果は萌芽的レベルにとどまっている。超一様性は全く予期していなかった現象であり、今後、解析を本格的に始める必要である。
(2)非一様系のガラス転移について：ランダムピニング系の、シミュレーションと解析はほぼ終盤に入っている。計画は若干の遅れがあるものの、論文執筆は始めており、プロジェクトとしては出口が見えてきた言える。
(3)非従来系のガラス転移について：シミュレーションはほぼ終了しており、解析と論文執筆を始められる状況になっている。
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| Strategy for Future Research Activity |
(1) 非平衡系のガラス転移について：ジャミング転移の付近の可逆・不可逆転移とレオロジーの関係を明らかにするためにさらに解析を行う予定である。密度と外力（変形の度合い）軸にとった動的相図は極めて多様であり、その一つ一つを丁寧に解析していく必要があり、研究を大きく展開していきたい。低密度領域については流体力学相互作用も考慮した第一原理的計算を、中密度領域については接触数解析やプロトコル依存性の解析を行う。さらにジャミング転移直近ではシアに対する力学応答の解析も行う。アクティブマターについては、低密度極限におけるモデルの統計力学的な性質を十分に解析したのちに、幅広いパラメータスペースで構造的な性質、特に性的構造因子を用いた超一様性の解析を行う。また同時にアクティブマターのガラス転移研究を本格的に開始する。まずガラス転移が起こるパラメータの探索を行った後に、二点相関関数を用いたスローダイナミクスの観測を行う。引き続きStokes-Einstein関係式、そして多体相関関数を用いた動的不均一性の定量的評価を行う。
(2)非一様系のガラス転移について：解析を終了し論文執筆と研究発表を行う。
(3)非従来系のガラス転移について：解析を終了し論文執筆と研究発表を行う。
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