2016 Fiscal Year Annual Research Report
高分子積層薄膜のガラス転移と界面ダイナミクス -機構解明とその制御-
Project/Area Number |
16H04036
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
深尾 浩次 立命館大学, 理工学部, 教授 (50189908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧川 佳紀 立命館大学, 理工学部, 助教 (20755483)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高分子積層薄膜 / 誘電緩和 / 中性子反射率 / ガラス転移温度 / α過程 / 界面構造 / 非対称な拡散 / ラフネス |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はこれまでの研究課題の成果を踏まえて、本申請研究を目的を達成するために研究を遂行し以下のような研究実績が得られた。 1. 高分子積層膜に対して、誘電緩和測定を行うとともに、中性子反射率により、界面構造を明らかにした。対象とした系は、h-PMMAとd-PMMAのそれぞれから成る交互積層薄膜である。とくに、d-PMMA層として、分子量の異なる2種類のd-PMMAを様々な分率でブレンドしたものを用い、h-PMMA層とd-PMMA層のガラス転移温度の大小関係が異なるものを準備した。これらの系に対する中性子反射率測定によって、高分子積層膜の界面において、非対称な相互拡散が起こっていること、さらには、この拡散によって、d-PMMA層の膜厚とh-PMMA層の膜厚がアニール過程において異なった時間発展をすることが明らかとなった。さらに、この界面構造の時間発展とα過程のダイナミクスの変化とが相関していることが示された。 2. ポリアミド系高分子薄膜においては、電極分極による誘電緩和過程が観測され、この過程が高分子薄膜のガラス転移ダイナミクスに重要な影響を与えていることが知られている。この電極分極のメカニズムを調べるために、モデル系としてイオン液晶を用い、その相転移挙動と電極分極過程との関係を実験的に明らかにするため、誘電緩和測定を行った。その結果、イオン液晶で観測される電極分極過程は、低温スメクチック相において温度が低下するとともに、その緩和時間が長くなる特徴を有することが明らかとなった。このことは、低温スメクチック相では、チャージキャリアの拡散運動が抑制されていることを意味する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中性子反射率測定によって、動的な非対称性と界面構造の変化との対応が明らかとなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は中性子反射率測定により得られた界面構造の時間発展から、界面での非対称な拡散機構を明らかにするとともに、中性子反射率測定でのさらなるビームタイムの獲得、補足的なデータの収集を行う。また、対応するシステムでの誘電緩和測定を実施し、α過程のダイナミクス変化と界面構造変化との関係を明らかにする。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] Phase Transition and Dynamics in Ionic Liquid Crystals2016
Author(s)
Y.Nozaki, K.Yamaguchi, K.Tomida, N.Taniguchi, H.Hara, Y.Takikawa, K.Sadakane, K.Nakamura, T.Konishi, K.Fukao
Organizer
EMN Meeting on Ionic Liquids Energy Materials Nanotechnology, Nov 9-13, 2016
Place of Presentation
Bangkok, Thailand
Year and Date
2016-11-11 – 2016-11-11
Int'l Joint Research / Invited
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