2017 Fiscal Year Annual Research Report
Glass transition and interfacial dynamics in stacked thin polymer films
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16H04036
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
深尾 浩次 立命館大学, 理工学部, 教授 (50189908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧川 佳紀 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20755483)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高分子積層薄膜 / 界面ダイナミクス / ガラス転移 / 中性子反射率測定 / 誘電緩和測定 / 非対称拡散 / 基板効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はこれまでの研究の進捗状況を踏まえて、以下の研究実績をあげることができた。 1. 重水素化PMMA(d-PMMA)と水素化PMMA(h-PMMA)の積層膜に対する中性子反射率測定を行い、分子量の違う高分子をブレンドすることにより、d-PMMA層のガラス転移温度をコントロールした状態で、等温アニール過程におけるd-PMMA層とh-PMMA層の界面での構造変化のダイナミクスを調べた。これにより、界面で生じる構造変化の非対称性がd-PMMA層のガラス転移温度の変化とともに定性的に変化することを明らかにした。 2. 1.での研究成果を踏まえて、ポーランド・ビスワでの第8回複雑系緩和現象に関する国際研究集会(IDMRCS)において、Interfacial interaction and glassy dynamics in stacked thin films of poly(methyl methacrylate)というタイトルで招待講演を行った。この研究集会では当該分野の世界の研究者が一同に会しており、今後の研究の展開に関する重要な知見を得られた。 3. 本研究テーマに関連して、これまで推進してきた、フランスSolvay社・CNRS・リヨン大学との国際共同研究に関して、国際共同研究契約書を締結することができた。この契約に基づき、様々なポリアミド系高分子薄膜とダイナミクスに関する研究の展開を開始した。 4. 本研究テーマに関連して、フライブルグ大学において、Workshop on Recent Advances in Polymer Dynamics and Crystallizationを2017年9月14-15日の日程で開催した。深尾はオーガナイザーを務めるとともに、‘Heterogeneous dynamics in thin polymer films’というタイトルで講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
中性子反射率測定に関しては、測定結果がビームタイム時のビームの安定性に依存しており、なかなか十分なデータが取得できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
以下に方策に従って今後の研究を推進する。 1)中性子反射率測定が本研究の重要な実験手法であるため、十分なビームタイムの取得のために努力し、安定した測定を継続する。 2)研究内容に関しては、中性子反射率測定によりPMMAで観測された界面ダイナミクスの変化がPS積層膜においても同様に観測されるかどうか、現象の普遍性を調べる。 3) ポリアミド系の高分子を対象として、分子量および水素結合の強さをコントロールした薄膜試料を用いて、誘電緩和測定を行う。電極分極(EP)過程の緩和時間の温度依存性より、フラジリティ指数を水素結合強度と膜厚の関数として評価する。 4) 研究成果を第8回誘電分光国際研究集会、高分子討論会などで発表することにより、その際のディスカッションを通して、今後の研究の展開についての総括を行う。
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