2018 Fiscal Year Annual Research Report
New fault model based on friction experiments across the deformation mechanism transitions
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16H04061
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
金川 久一 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (40185898)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 摩擦実験 / 変形機構 / 断層モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
アルゴンを間隙圧媒体として、昨年度と同じ実験条件(室温~200℃、封圧150MPa、間隙水圧50MPa)で軸方向変位速度を0.1, 1, 10 μm/sの間でステップ状に変化させながらオパールガウジの三軸摩擦実験を行い、定常摩擦強度とその変位速度依存性(正ならば安定で非地震性、負ならば不安定で地震性となり得る)に関して、以下の結果を得た。 1)温度上昇または変位速度の低下に伴って、定常摩擦強度がわずかに増大する傾向が認められた。 2)温度上昇または変位速度低下に伴って、定常摩擦強度の変位速度依存性がわずかに減少する傾向が認められた。定常摩擦強度の変位速度依存性は、軸方向変位速度0.1 μm/sでは室温と50℃の間、1 μm/sでは50℃と100℃の間でそれぞれ正から負に転じているが、一方10 μm/sでは200℃でも正であった。 3)実験後の試料の微細構造は、室温と200℃で大きな相違はなく、いずれの場合も細粒粉砕基質中に破砕粒子を含んでおり、変形機構としてカタクレーシスが支配的であったことを示している。 4)1)および2)の変化は、昨年行った間隙水圧下の実験結果ほど顕著ではないが、有意である。アルゴン間隙圧下では溶解-析出クリープの活動が抑制されたものの、オパール自身が数重量%の水を含むため完全に抑制はできず、そのため、定常摩擦強度とその変位速度依存性に温度または変位速度による変化がわずかに現れたものと考えられる。従って、溶解-析出クリープが活動的な条件下では、定常摩擦強度とその変位速度依存性が、温度上昇または変位速度の低下に伴って増大・減少し、それによって断層運動が不安定化し、非地震性から地震性への断層運動の遷移を促すことが追認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに実験を行い、昨年度の間隙水圧条件の実験結果と今年度の間隙アルゴン圧条件の実験結果を比較することにより、断層の力学的挙動に対する溶解-析出クリープの影響を評価することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
封圧150 MPa、間隙水圧50 MPa、温度300~800℃の条件下でオパールガウジの摩擦実験を行い、力学データと微細構造観察に基づいて、溶解-析出クリープから転位クリープへの変形機構遷移に伴う断層の力学的挙動の変化を明らかにする予定である。
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