2018 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of coseismic fluid and melt processes in earthquake faults by geochemical and petrological analyses
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16H04066
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
石川 剛志 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 高知コア研究所, 研究所長 (30270979)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 地震 / 断層 / 地球化学 / 流体岩石相互作用 / 摩擦溶融 |
Outline of Annual Research Achievements |
地震時に断層内で生じる流体岩石相互作用および摩擦溶融を、断層岩の地球化学的・岩石学的解析により定量的に評価する手法を構築する目的で、以下の研究を行った。 (1) 過去の分析により地震時に350℃以上の高温流体岩石相互作用が生じたことが分かっているコディアック付加体中の断層岩および母岩についてリチウム同位体分析を行った。その結果、断層岩と350℃で化学的に平衡な流体は、海洋地殻において緑色片岩相の流体岩石相互作用で生じる熱水と同様のリチウム同位体比を持つことが明らかとなった。成果は国内・国際学会で発表した。 (2) 徳島・牟岐の上部白亜紀四万十付加体中の摩擦溶融を伴う断層岩および母岩について、マイクロドリリングで得られた試料の主成分・微量元素・ストロンチウム同位体データを解析した。その結果、粘土鉱物に富む細粒基質の選択的溶融および溶融成分の濃縮(約5.5倍)で断層岩の組成が見事に説明できることが明らかとなった。それに基づき、摩擦溶融を定量的に評価する地球化学的モデルの構築に成功した。成果は論文として発表した。 (3) 高知・久礼の上部白亜紀四万十付加体中の摩擦溶融を伴う断層岩についても主成分・微量元素データに(2)のモデルを適用することで、同様に摩擦溶融の定量的評価が行えることが明らかとなった。 (4) 断層試料の分析に用いる高精度ホウ素同位体分析法、ストロンチウム・ネオジム・鉛の包括化学分離法を開発した成果を論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、四万十付加体中の断層について、摩擦溶融がもたらす化学的特徴が、粘土鉱物に富む細粒基質の選択的溶融および溶融成分の濃縮で説明できることを解明し、それを地球化学モデルで定式化することに成功した。これにより、本研究の目的の1つである、地球化学的手法による摩擦溶融の定量的評価法の構築を達成したと言える。断層内における流体岩石相互作用の評価法の改良も進んでおり、研究はおおむね順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね順調に進捗しているので、基本的には当初の計画に沿って研究を進め、成果を取りまとめて学会・論文で発表を行う。新たに得た、断層岩のホウ素・リチウム同位体データを取り込んだ流体岩石相互作用の解析手法を最終的には構築したい。
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Research Products
(9 results)