2016 Fiscal Year Annual Research Report
Adsorption of prebiotically essential molecules on oxide minerals
Project/Area Number |
16H04074
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
北台 紀夫 東京工業大学, 地球生命研究所, 研究員 (80625723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福士 圭介 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 准教授 (90444207)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アストロバイオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
『吸着』とは地球表層における元素の循環を支配する最も重要な化学プロセスの一つである.しかし,この現象に与える環境因子は体系的に理解されておらず,元素の動的挙動を扱う地球化学モデルには一般的に考慮されていない.本研究では先端的吸着理論であるExtended Triple Layer Model (ETLM)を利用し,硫酸,リン酸,炭酸,アンモニアなどの吸着挙動を,すべての酸化鉱物,幅広い水質条件において予測可能とするパラメータの導出を目指している.これにより生命必須元素(H,C,O,N,S,P)の水環境における分配を定量的に予測できるようになる.地球上の生命はどこで・どのように誕生したのか,という根源的問いに対し,より定量的な観点から解に迫ることが可能となる. 初年度はまず,吸着のモデル化に必要な実験データを得る体制を整えると共に,主に硫酸を対象とした実験とデータ解析を行った.吸着実験では,硫酸を含む水溶液と鉱物粉末を混合し,吸着平衡となるまで攪拌を続けた.平衡後,遠心分離により固液分離し,上澄み液のろ過を行った.ろ過液中に含まれる残存イオンの濃度を高速液体クロマトグラフィーで定量し,吸着実験前との差分から吸着量を算出した.以上の実験はpH3-10,イオン強度0.01-0.1,硫酸濃度0.1-1mMの範囲で行った.滴定実験では硫酸水溶液と鉱物粉末の混合物を用意し,酸又はアルカリを少量添加し,pHが安定するまで攪拌を続けた.pHの変動が無くなれば再び酸又はアルカリを加え,pHの安定を待った.この作業をpH3-10の範囲で行い,加えた酸又はアルカリの量とpHの変化量から各pHにおける鉱物の表面電荷を算出した.以上の実験から得られた結果をもとに,ETLM理論によって吸着反応式及び平衡定数を決定した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鉱物粉末サンプルの選定等に時間がかかり,実験データの収集に多少の遅れが生じたが,精度の高いデータの獲得や解析の手順が確立しており,今後のスピードアップが見込まれるため.
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Strategy for Future Research Activity |
硫酸の吸着についてはほぼ十分な実験データが収集され,解析まで進んでいる.これを速やかに論文としてまとめ,学術誌へ投稿する予定である.他のイオンについても,これまでに確立した手順に沿ってデータ収集と解析を進めていく.
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