2017 Fiscal Year Annual Research Report
沈み込むスラブからマントルウェッジへの水流体の化学組成の変化
Project/Area Number |
16H04075
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川本 竜彦 京都大学, 理学研究科, 助教 (00303800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 康 北九州市立自然史・歴史博物館, 自然史課, 学芸員 (20359475)
重野 未来 北九州市立自然史・歴史博物館, 自然史課, 受託研究生 (90749558)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヒスイ輝石岩 / 沈み込みチャネル / 塩水 / 海水の循環 / 高圧変成岩 / 蛇紋岩 / メランジュ / 流体包有物 |
Outline of Annual Research Achievements |
西南日本の関東山地寄居地域に産出する石英を含むヒスイ輝石岩中のヒスイ輝石と石英に水を主体とする流体包有物が存在することをラマン分光法で確認し、マイクロサーモメトリー法で塩濃度を推定した。推定した塩濃度の平均値は4.7重量パーセント NaCl当量であった(Fukuyamaほか、2017、Journal of Mineralogical and Petrological Sciences)。秋田大学と産総研との共同研究の成果である。 また、カリブ海のドミニカ共和国の蛇紋岩メランジュ中のヒスイ輝石岩とヒスイ輝石を多く含む高圧変成岩中の、ヒスイ輝石、ローソン石、アパタイト、石英中に水流体からなる流体包有物を見出し、その塩濃度をマイクロサーモメトリー法で推定した。平均値は4.5重量% NaCl当量であった(Kawamotoほか、2018、Lithos)。ドミニカ共和国のヒスイ輝石岩は、流体から直接晶出したと考えられる岩石(従来の研究でprecipitation-typeと呼ばれる岩石)と、はんれい岩の斜長石の多い部分が沈み込みにともなってヒスイ輝石岩に変化したと考えられる岩石(従来の研究でreaction-typeと呼ばれる岩石)があるが、両岩石中の流体包有物は同じ塩濃度を持つことが判明した。ルール大学との共同研究の成果である。 これら関東山地とドミニカ共和国で記載したヒスイ輝石岩中の流体包有物は、深さ約50kmにおいて「沈み込みチャネル」に存在する塩水を結晶成長時に取り込んだものと想像する。その流体は、4ないし5重量% NaCl当量の組成を持つ塩水である。これらの値は、現在の海水の値(3.5% NaCl)よりも高い。今後、海水が沈み込みにともないどのように岩石と反応するか理解したい。そのためにも、いろいろな条件で生成された岩石中の流体の化学組成をもっと知ることが重要だと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に導入したラマンイメージング装置を使用した研究論文を2編公刊することができたのは、論文発表に時間のかかる者としては上出来だとおもう。イメージング装置を使用することにより、メタンなどの有無も確認し易くなり、観察の確からしさが向上した。最終年度もよりよい研究を行うよう努力します。
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Strategy for Future Research Activity |
計画は順調に進んでいるので、予定通り、マントル捕獲岩の硫酸イオンの研究論文を投稿したい。また、炭酸塩岩に含まれる古代の海水組成をもつ流体包有物の観察を継続して行いたい。これにより、海洋ー海洋プレートーマントルへの塩水の移動に関する一連の重要なデータを提出できると考える。また、当初の研究計画にはなかった共同研究者との新しい岩石中の流体包有物の観察を開始したので、年度内に一定の成果を出したい。その研究を進める上で、新しい研究テーマに発展することを期待したい。
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Research Products
(12 results)
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[Presentation] Volatile element transport within a closed system constrained by halogens and noble gases in mantle wedge peridotites2017
Author(s)
Masahiro Kobayashi, Hirochika Sumino, Keisuke Nagao, Satoko Ishimaru, Shoji Arai, Masako Yoshikawa, Tatsuhiko Kawamoto, Yoshitaka Kumagai, Tetsuo Kobayashi, Ray Burgess, Chris Ballentine
Organizer
日本地球惑星科学連合大会
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