2017 Fiscal Year Annual Research Report
高精度ミラー光学系顕微反射分光分析装置を用いたイトカワ試料の反射スペクトル分析
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16H04082
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
大澤 崇人 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 物質科学研究センター, 研究主幹 (70414589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 隆司 九州大学, 理学研究院, 助教 (40372750)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 反射分光分析 / 反射スペクトル / 近赤外スペクトル |
Outline of Annual Research Achievements |
太陽系の進化を明らかにする上で隕石の研究は欠かせないが、ほとんどの隕石種で母天体が確定していない。その理由は、小惑星表面が宇宙風化によって反射スペクトルが変化するためである。はやぶさが持ち帰った小惑星イトカワの砂はS型小惑星がLLコンドライトの母天体であることを明確にしたが、宇宙風化と反射スペクトルの関係を解明するためにはイトカワ粒子表面の風化領域のみを回折限界近い空間分解能で分析する必要がある。そこで本研究では申請者がこれまでに開発したミラー光学系反射分光分析装置を高度化することでイトカワ粒子の反射スペクトルを1μmの空間分解能で明らかにすることを目指す。 28年度では、これまでに開発した反射分光分析装置を高度化すべく、4Wの白色レーザー、分光器、近赤外光検出器、可視光検出器を導入した。レーザーを使用するためにレーザー管理区域として遮光ボックスを設計・開発し、これを実験室に設置して機器を整備した。SOL製の分光器とフォトンカウンティンターを制御するプログラムを開発してスペクトルを取得できるようになった。分光器のRS232Cのコマンドをハードウェア的に解析し、コマンドを直接分光器に送ることで制御を可能にした。フォトンカウンターはメーカー提供のDLLを利用し、これをLabVIEWに組み込んだ。これにより分光器とフォトンカウンターの両者をLabVIEW上で開発したプログラムによって連携させて動作させることが可能になり、スペクトルの取得ができるようになった。 29年度ではこれまで高次回折光がカットできなかったため、これをカットするためのフィルターとフィルターホイールを導入し、これをRS232CによってLabVIEWで制御可能とした。またフィルターを介した光学系でのスペクトル測定プログラムを開発し、これによって可視から近赤外にいたる幅広い波長領域でスペクトル測定が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
業者に依頼しているミラーの再研磨が予想外に遅滞しており、進捗が遅れてしまっている。他の機器開発においてもそれに引き摺られる形で遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
ミラーの再設計が必要となるかもしれないため、この問題を最優先で解決する。これはミラーの研磨の難易度に依存した問題であるが、現在の光学設計でも問題ない場合は初期計画のまま進行させることができるが、研磨の難易度がどうしても高すぎる場合は光学設計を変更する判断となる。この判断は可及的速やかに行う必要がある。その後光軸を合わせ、実際の試料の測定へと移行する予定である。
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