2017 Fiscal Year Annual Research Report
無電極スラスタ内のガス・プラズマ相互作用に伴う運動量輸送と制御
Project/Area Number |
16H04084
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 和貴 東北大学, 工学研究科, 准教授 (80451491)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷹尾 祥典 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (80552661)
安藤 晃 東北大学, 工学研究科, 教授 (90182998)
小室 淳史 東北大学, 工学研究科, 助教 (70733137)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | プラズマ・核融合 / 電気推進 / ヘリコンスラスタ / ガスプラズマ相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,中性粒子との相互作用に起因する運動量輸送過程を明らかにするため,運動量ベクトル計測装置の高精度化を進め,半径方向および軸方向の運動量ベクトルを同時分解計測可能とし,約20μN程度の分解能で計測可能であることを明らかにし,次年度の運動量損失分布を実験的に同定する基盤技術の構築に成功した.合わせてPICシミュレーションにより,軸方向運動量の損失分布を解析したところ,中性粒子相互作用によるプラズマ構造形成の結果,壁面への運動量損失が増大することが示され,実験結果と定性的な一致を示した. またプラズマ源内壁近傍において生成される高温電子の空間挙動を実験的に同定し,壁面へのエネルギー損失を引き起こしている可能性を示唆し,その知見を踏まえて段付き絶縁管を用いたプラズマスラスタを設計・制作し,約15-20%程度の推力増加が可能であることを示した. 中性粒子との相互作用の結果,大電力高周波投入時には放電初期の100μsec程度の時間で高密度プラズマが維持できることが分かり,その際の磁気ノズル中の磁力線の変形に関して実験を実施した.その結果,スラスタ出口近傍では推力増加につながる反磁性信号が得られ,その一方で下流域では磁力線が伸長されることが初めて観測された.この遷移が起こる条件に関して実験データを解析し,アルフェンマッハ数が0.2程度で起こることが分かり,MHD方程式によって定性的な解釈が可能であることを示した. また磁気ノズル中の電子の熱力学特性を調べ,自発的に形成される両極性およびシース電場を実験的にゼロとし磁場と電子流の相互作用を調べたところ,ポリトロープ指数が5/3に近づくことが分かり,熱力学が磁場と相互作用する無衝突電子へと拡張可能であることを明らかにした.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ガスプラズマ相互作用に関しては当初の計画通りに進展しており,磁力線からのプラズマ離脱現象につながる磁気ノズル伸長現象や,熱力学の無衝突電子への拡張等,新たな実験的知見が得られ,独創的な実験研究が実施できたため.
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成30年度は,今年度開発した運動量ベクトル計測器を用いた運動量損失分布の実験的同定,中性粒子枯渇に伴うプラズマ構造形成と加速特性に関してより詳細なデータ収集を行い,これまでに進めてきた二流体方程式による推力モデルやPICシミュレーションの結果と統合して,ヘリコンスラスタ中のガスプラズマ相互作用に起因する運動量輸送機構を明らかにするとともに,その制御による推進性能向上を進める. また新たな展開が期待される磁力線の伸長現象や熱力学特性に関しても継続して実験研究を実施し,学術研究としての発展を目指す.
|
Research Products
(20 results)