2017 Fiscal Year Annual Research Report
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16H04092
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
並河 英紀 山形大学, 理学部, 教授 (30372262)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 非平衡 / リーゼガング / アミロイドβ |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲル薄膜系においては、反応中間体である結晶核自由エネルギーとパターン形成に関する実験およびシミュレーションを中心に研究を行った。その結果、結晶核を安定化させるリガンド存在下においては発現するリーゼガングパターンの波長が低下することが明らかとな多。本結果の解釈を行うことを目的に反応拡散方程式の数理科学的シミュレーションを行ったところ、各系に対する濃度閾値(C*)を低下させることで観測結果を定性的に説明できることが明らかとなった。以上の実験およびシミュレーション結果を踏まえると、リガンド存在下では核形成時に核表面へ配位し安定化させることで核形成エネルギーが低下し、より低濃度から核形成さらには粒成長が進行することを示唆している。そして、リーゼガンパターンの形成がより低濃度にて進行することがパターンの波長を低下させていることが示唆された。 分子超薄膜系においては、アミロイドβペプチドのモデル細胞膜上での蓄積が非平衡環境下において促進されることが明らかとなった。具体的な実験としては、マイクロ流路にて一定流束でアミロイドβペプチド含有水溶液をモデル細胞膜上へ流入させ、その際の膜上のペプチド線維化量の流動速度依存性を検証した。その結果、流動の無い平衡環境下においてはペプチドの吸着と脱離が周期的に繰り返され、膜上への顕著な蓄積は観測されなかった。一方、一定の流動条件下においては時間とともに膜上への蓄積量が単調増加し、流動がアミロイドβペプチドの蓄積を促進していることを実験的に捉えることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載の内容をおおむね達成しており、本研究内容に関する論文も既に出版済みとなっていることから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲル薄膜系においては、空間的周期性を有するパターン形成における反応拡散機構の明確化を行う。特に、既存のモデルで提唱されているpre-nucleationモデルとpost-nucleationモデルの類似性に着目し、各反応素過程における統計的ゆらぎならびに反応種の空間的濃度勾配を考慮した統一的記述を目指す。これにより、パターン形成と非平衡度との相関性を定量的に関連付けるための熱力学的パラメータの提案を目指すとともに、生命反応のロバストネス・フレキシビリティーを保証するために最適な非平衡度と外部乱れの関係性を提案し、実際の自然界が採用しているシステムとの相互比較を行う。 また、分子超薄膜系においては、これまで研究対象としていた1~2nm程度のナノクラスターの生化学的活性に加え、1nm未満、すなわち、反応相手である脂質分子サイズよりも小さなサブナノクラスターの生理活性の評価を行うため、レーザー全反射型倒立顕微鏡と高感度CCDカメラを用い、蛍光標識された各種薬剤分子の作用に関して非平衡度の異なる条件下での膜上動態を単分子レベルで観察する。
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[Presentation] Analysis of oxidative stress response in clinically relevant radioresistant cells.2018
Author(s)
mita, Kazuo; Kuwahara, Yoshikazu; Takashi, Yuko; Yamanishi, Sayuri; Nabika, Hideki; Tanaka, Koh-ich; Kitanaka, Junichi; Kitanaka, Nobue; Takemura, Motohiko; Nishiyama, Nobuyoshi; Miyawaki, Shouichi; Fukumoto, Manabu; Nishitani, Yoshihiro; Kurimasa, Akihiro; Sato, Tomoaki
Organizer
18th World congress of basic and clinical pharmacology
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[Presentation] Sensitivity for hydrogen peroxide in ρ0 cells and involvement of membrane status2018
Author(s)
Takashi, Yuko; Tomita, Kazuo; Kuwahara, Yoshikazu; Yamanishi, Sayuri; Nabika, Hideki; Tanaka, Koh-ichi; Kitanaka, Junichi; Kitanaka, Nobue; Takemura, Motohiko; Nishiyama, Nobuyoshi; Miyawaki, Shouichi; Nishitani, Yoshihiro; Sato, Tomoaki
Organizer
18th World congress of basic and clinical pharmacology
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