2017 Fiscal Year Annual Research Report
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16H04094
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤芳 暁 東京工業大学, 理学院, 助教 (70371705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 宣宏 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (80267955)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 一分子観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、(1)クライオ蛍光顕微鏡の機械的安定性に関する研究と(2)光による二本鎖DNAの分子イメージングの実現という二つの課題に取り組んだ。特に、後者は世界初の快挙であり、非常に学術的価値の高い研究である。また、前者の機械的安定性の研究が無ければ、(2)に示した実験の実現は不可能であり、これも重要な研究である。 (1)クライオ蛍光顕微鏡の機械的安定性に関する研究 クライオ蛍光顕微鏡のデザインを工夫することで、装置全体の剛性を高めて行った結果、最後に残る不安定要素は部屋の温度変化に由来する装置の揺れであった。定量的に測定すると、約10 nm/Kであった。我々の目標とする機械的安定性が0.1 nmなので、pV値で10 mKの温度安定性が必要である。しかし、小さい空間であれば、±1 mKの温度安定性は実現するが、大きな装置(2 m x 1 m x 0.5 m)を10 mKの範囲内で温度安定化するのは極めて難しい。そこで、我々は温度が高精度に安定(水温23℃における安定性±0.1 mK)した循環冷却水装置を開発し、ねらいの安定性を実現した。 (2)光による二本鎖DNAの分子イメージングの実現 本課題の目標は、光によって分子間相互作用を測ることにある。そのモデル分子として、30塩基対の二本鎖DNAの光イメージングをおこなった。30塩基対の二本鎖DNAが直線的なヘリックス構造を取ると、その両端の長さは10.2 nmになる。ところが、昨年までの実験でこの長さを測定したところ、0~40 nmまで幅広い分布を取っていた。今年度の研究で、この長さが正確に測れない原因が、色素分子からの非等方的な輻射による系統誤差であることが分かった。そこで、この系統誤差を最小化することで、30塩基対の二本鎖DNAの光イメージングに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上に述べた非等方的な輻射による系統誤差は研究計画の段階では想定していない現象であった。しかし、高精度、高安定なクライオ蛍光顕微鏡を開発することで、実験的に明らかにし、分子イメージングにつなげることができた。これは世界初の快挙であり、非常に学術的に価値の高い研究である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、達成している位置決定精度はxy方向で0.5~1 nmである。これは十分に分子間相互作用を測定できる精度である。そこで、この顕微鏡を用いて、研究分担者である林宣宏先生から試料を頂き、抗原抗体反応分子間相互作用の研究を始める予定である。
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Research Products
(5 results)