2016 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of mode-of-action of maitotoxin based on chemical synthesis
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16H04112
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大石 徹 九州大学, 理学研究院, 教授 (90241520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
此木 敬一 東北大学, 農学研究科, 准教授 (40292825)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マイトトキシン / 梯子状ポリエーテル / Ca2+流入活性 / 化学合成 / 生物活性発現機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
マイトトキシン(以下MTXと略す)は,食中毒シガテラの原因物質のひとつであり,強力な生物活性(細胞内へのCa2+流入活性など)を発現する。 平成28年度は,生物活性発現機構の解明を目指し,MTXの部分構造である1)疎水性部分C’D’E’環部,および2)親水性部分LM/NO環部,BCD環部,DEF環部の合成を検討した。 1.C’D’E’環部:C’D’E’環部は核間メチル基が連続しているため,収束的に合成することが困難であるため,これまでC’D’E’環部の合成には20段階以上を要していた。そこで,より短段階で合成するルートを検討した。アルデヒドとフリルリチウムのカップリング反応,生じたヒドロキシ基のラジカル的脱酸素化反応を経由することで,立体障害の大きな系でのフラグメントの連結に成功した。さらに,当研究室で開発したAchmatowicz反応および化学選択的メチル化を利用したエノンの構築に成功した。鍵反応である分子内オキサMichael反応を利用したD’環部の構築を検討中である。 2.LM/NO環部:これまでLM環部の合成には20段階以上を要していたが,僅か12段階で合成できるルートの開発に成功した。また,C-グリコシル化によるアリル基導入が問題となっていたが,マイクロフローリアクターを用いることで解決することができた。 BCD環部:Achmatowicz反応を利用することで,B環部およびD環部を構築することに成功した。鍵反応である分子内オキサMichael反応を利用したC環部の構築を検討中である。DEF環部:鈴木‐宮浦カップリング反応によるフラグメントの連結,続く不斉ジヒドロキシ化反応,Achmatowicz反応,および還元的エーテル化反応を経由してエノンの構築に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでMTXのLM/NO環部の合成には20段階以上を要していたが,僅か12段階で合成できるルートの開発に成功した。また,C-グリコシル化によるアリル基導入が問題となっていたが,マイクロフローリアクターを用いることで解決することができたため,研究が順調に進展している。他のフラグメント合成についても,まだ完成はしていないものの,おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,MTXのW-F’環部,G-O環部,およびA-F環部セグメントの合成を行う。 1)W-F’環部の合成:MTXに代表される分子長の長い梯子状ポリエーテルを合成する上で,フラグメントを連結していく収束的合成法の開発は必要不可欠である。本申請者は,既にα-シアノエーテルを経由する二環構築型収束的合成法を独自に開発し,この方法論を用いた梯子状ポリエーテル天然物イェッソトキシンのA-J環部,人工梯子状ポリエーテルの収束的合成,およびMTXのW-C’環部の合成に成功しているので,この方法論を応用する計画である。 2)G-O環部の合成:G-O環部は,GHI環部とLMNO環部を連結しつつIJ環部を構築することで収束的に合成できると考えた。GHI環部については,QRS環部の合成に用いた方法を応用することで合成する。LMNO環部の合成は既に完了しているが,いくつか問題のある点が残されていたため,この点を改良する。 3)A-F環部の合成:A-F環部は,側鎖を含むA環部とD-F環部を連結しつつBC環部を構築することで収束的に合成できると考えた。また,本申請者は,フランとのカップリング,Achmatowicz反応およびoxa-Michael反応による六員環の構築を経由する三環性化合物の合成法を確立しているので,この方法をD-F環部の合成に応用することにした。側鎖を含むA環部の合成については,Marshal法を利用した3連続不斉中心の構築を経由して合成する。合成した化合物の生物活性試験:MTXは1 nMという低濃度で細胞内へのCa2+流入活性を引き起こす。ラット由来のC6グリオーマ(神経膠腫)細胞を培養し,細胞内に取り込まれたCa2+の量を,Ca2+感受性蛍光色素(Fura-2)を用いる方法を利用して定量する。W-F’環部分についてはMTXによって引き起こされるCa2+流入活性が阻害されるか,また,MTXと同様にCa2+流入活性を示すかどうかを確かめる。
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Research Products
(12 results)