2017 Fiscal Year Annual Research Report
低侵襲・高深度三次元生体イメージングのための二光子励起蛍光プローブの開発
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16H04134
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
川俣 純 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (40214689)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 非線形光学 / 二光子吸収 / 蛍光 / 赤外発光 / バイオイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終的な目的は、誰もが簡単に使えるフェムト秒ファイバーレーザーを光源に、1 mm程度の高深度までの三次元生体イメージングシステムを低侵襲に行えるシステムを完成させることである。 平成28年度は、(1)発振波長1030 nmのファイバーレーザーにより生きた細胞内で二光子励起蛍光を示す、(2)生体に有害な有機溶媒を使用することなく細胞や組織を染色するのに十分な水溶性を示す、(3)組織深部からの蛍光を低侵襲で観察することが可能な波長800 nm以上にまで蛍光帯が延びている、という条件を満たした蛍光プローブを4種類開発することができた。 平成29年度は、新しい蛍光プローブの開発をさらに進めるとともに、これらの蛍光プローブの性能を最大限発揮させることができる二光子励起顕微鏡の開発を進めた。従来の二光子励起顕微鏡とは異なり、目に見えない赤外光で励起を行うため、汎用的な光学部品で試作した顕微鏡には効率の点で問題があった。そこで、光学機器メーカーと共同で、1030 nm励起・近赤外発光検出での効率向上に特化したパーツの設計を進め、特注により製作したパーツを組み込むことで高感度な顕微鏡システムを構築した。このシステムと、前述の新規蛍光プローブ群を用いて実際のイメージングを行った結果、ファイバーレーザーの強度を100分の1に減衰して試料に入射しても、非常に明るく、また、解像度の高い二光子励起イメージング像を得ることが出来た。 以上のように、新規蛍光プローブ、および、低パワー、すなわち低侵襲で高感度にイメージングが行える顕微鏡システムはほぼ完成させることで、平成30年度には高深度イメージングの実証に計画通り着手するための準備を終えることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度も新たに3種の蛍光プローブを開発できており、当初計画以上に進行している。このことにより生じたリソースを、ファイバーレーザーを光源とした二光子励起顕微鏡の高感度化に費やすことができた。その過程で、平成30年度に高深度イメージングを行うにあたり予想される問題点の洗い出しができた。具体的には、高深度イメージングを行うためには、ワーキングディスタンスを伸長することが不可欠となるが、ワーキングディスタンスの大きなレンズで励起光を集光すると、焦点が大きくなってしまい、解像度が劣悪になるという点である。この問題の解決に、光学系の設計を機器メーカーの技術者の協力の下で取り組んだ。その結果、光学系の設計を見直し、可変焦点レンズや空間光位相変調器を光学系に組み込むことで ワーキングディスタンスの大きなレンズで励起光を集光しても小さなスポットに励起光を絞り込む目処が立った。 以上のように、平成30年度に実施を予定していた研究で生じる問題点に平成29年度中に気付くことができ、その解決策が見いだされているので、当初の計画以上に研究が進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、可変焦点レンズや空間光位相変調器を光学系に組み込んだ顕微鏡の製作にまず取り組む。空間光位相変調器により収差を補正するとともに、試料内の散乱による光路のずれを補正するソフトウエアの作成にも取り組む。ソフトウエアの作成には専門知識が必要となるので、メーカーの協力を受ける。 以上により完成させたシステムで、高深度イメージングの実証に取り組む。人体と同じ誘電的特性をもつファントム液剤の中に細胞を埋めた実験、ゼブラフィッシュを染色して試料に用いる実験を実施する。実験で得られた結果に基づき、蛍光プローブの性能や顕微鏡の光学系をチューンすることで、目的としている1 mmの深度までの低侵襲三次元イメージングを実現できるようにする。 また、従来から知られている蛍光プローブと、本研究で開発した蛍光プローブの双方を用いて同一の光学系で三次元イメージングを行い、本研究で開発したプローブの有用性を定量的に示せるようにする。さらに、従来広く用いられてきた光源であるチタンサファイアレーザーを光源とした場合と、ファイバーレーザーを光源とした場合とでイメージングの比較を行い、本研究により完成するファイバーレーザー励起によるイメージングシステムの有用性を明らかにして研究を終了する。
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Research Products
(10 results)