2016 Fiscal Year Annual Research Report
分子鋳型ハイブリッドによる光アンテナ形成に基づいた単一細菌検出
Project/Area Number |
16H04137
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
椎木 弘 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70335769)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 光アンテナ / ナノ構造体 / 金属ナノ粒子集合体 / カプセル化 / 分子鋳型 / 細菌鋳型 / 単一細胞 / バイオ分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
アミノ基やカルボキシ基などの官能基をもつ分子や,O抗原に特異結合する抗体などのレセプターをもつ金属ナノ粒子を作製した。これらの金属ナノ粒子の結合に基づいて,細菌表面に存在する化学種の標識に成功した。走査型電子顕微鏡(SEM)観察により,粒径を分解能とした表面解析が可能となった。また,光学顕微鏡において理論分解能以下のサイズを持つ単一ナノ粒子の直接観察は不可能であるが,局在表面プラズモン共鳴(LSPR)に基づく散乱光は容易に観察できる。金属種や粒径に応じたLSPRにより,金属ナノ粒子が特定波長の光を吸収し,散乱光を生じることを利用して細菌表面の解析,および検出に成功した。金属ナノ粒子の集合が光散乱強度の増大をもたらすことを見出した。さらに,ポリマー被覆により,金属ナノ粒子の集合化を制御することに成功した。カプセル化により,均一サイズの集合体の形成と,溶液中での集合体自身の凝集,沈殿による不均一化が抑制できた。これに伴い,均一な光散乱特性と分散安定性が獲得できた。また,カプセル表面に細菌の鋳型を形成することに成功した。この鋳型は,標的細菌と特異的に結合することを見出した。大腸菌O157の鋳型は,異種の細菌や異なるO抗原(O26,O111)をもつ大腸菌に対し,10倍以上の選択性を示した。 以上,高感度な光アンテナとして機能する金属ナノ粒子ポリマーハイブリッドの開発が計画通り達成された。さらに,カプセル表面への細菌鋳型の形成に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,高感度な光アンテナとして機能する金属ナノ粒子ポリマーハイブリッドの開発が達成された。さらに,カプセル表面への細菌鋳型の形成に成功した。この鋳型は,標的細菌と特異的に結合することを見出し,異種の細菌に対して10倍以上の選択性を示した。このことは,本研究の有用性,さらなる応用展開の可能性を示唆する結果である。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り,分子鋳型を用いて単一細胞の解析,検出に関する研究を遂行するとともに,新たに開発した細菌鋳型の評価,および分析法の開発についても引き続き検討を行う。
|