2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H04141
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
則包 恭央 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究グループ長 (50425740)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 美紀 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (20415722)
高田 尚樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究チーム長 (60357358)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 光応答性結晶 / 光異性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、研究代表者らが新たに発見した結晶移動現象の機構を実験および計算科学的手法を用いて解明し、さらに高度な移動制御を実現することを目的とする。これを通して、光を活用した物質移動・輸送分野を飛躍的に発展させる。具体的には、様々な分子構造・結晶構造を有する結晶を作製し、共焦点レーザー顕微鏡および走査プローブ顕微鏡を用いた移動現象の詳細な観察、光照射方法や基板表面特性の制御、フェーズフィールド法を用いたシミュレーションを実施することにより、本現象を支配する因子を明らかにし、その知見を移動制御に利用する。 今年度は、前年度から引き続き、結晶移動現象を解析するための標準的な評価法について検討した。顕微分光、光学顕微鏡および共焦点レーザー顕微鏡にそれぞれ、LED光源を組み合わせた光学系の改良を行い、高精度の光照射および高解像度の撮影が可能になった。また、結晶作製法の改良を行い、結晶のサイズが揃った試料が作製可能になった。 基板表面との相互作用の検討においては、金蒸着シリコン基板表面に疎水性、および親水性の自己組織化単分子膜を形成した基板に加えて、疎水処理または親水処理を施したガラス基板、フッ素樹脂を摩擦転写したガラス基板上における結晶移動速度の測定を行い、これまで検討していた化学修飾していないガラス基板上での結果と比較した。その結果、結晶移動の際の前方と後方の速度が、基板の表面自由エネルギーに大きく依存することが明らかになり、単純な移動速度だけでは説明できないことが明らかになった。 シミュレーションにおいては、結晶と基板表面のそれぞれの表面エネルギーが光照射によって変化する、不均一な表面エネルギーモデルについて検討を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
それぞれのサブテーマで進捗が見られ、結晶移動現象の機構が明らかになりつつあるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、結晶移動の高度制御を達成するための結晶配置方法、新規化合物の開拓、基板デザイン、シミュレーションについて多方面から検討し、結晶移動現象の機構を明らかにする。
|