2017 Fiscal Year Annual Research Report
含フッ素イソベンゾフランを活用する高次共役有機分子の新創製
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16H04143
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
網井 秀樹 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (00284084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉石 露佳 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (30636220)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | フッ素 / 有機合成化学 / トリフルオロメチル基 / イソベンゾフラン / 環化付加 / 共役化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の全体構想は、有機フッ素化合物の系統的合成法の開発である。交付希望期間中の具体的目的は、含フッ素イソベンゾフラン中間体を用いて、フッ素系有機共役化合物の新合成法を開発することである。平成29年度には、含フッ素イソベンゾフランの反応を徹底検討する。イソベンゾフランは、o-キノジメタン構造を有し、Diels-Alder反応のジエン成分として働く有用な反応中間体である。平成28年度にはフッ素官能基導入カスケード環化反応による含フッ素イソベンゾフランの発生を確認した。 平成29年度は、高次アセン類の合成を目指し、含フッ素イソベンゾフランとアルキンとの[4+2]環化付加反応を検討した。 [4+2]環化付加反応が進行したが、生成物のアルケン部位に含フッ素イソベンゾフランがさらに付加した生成物が低収率ながら得られた。生成物には位置異性体が存在するので、その単離と構造決定が今後の課題である。さらに、高次アセン類の合成のために、キノン類との[4+2]環化付加反応を実施した。トリフルオロメチル化イソベンゾフランとナフトキノンとの[4+2]環化付加反応、それに続く脱水反応が円滑に進行した。生成物のカルボニル部位に還元的処理を施すと、トリフルオロメチル化テトラセンが良好な収率で得られた。一方、トリフルオロメチル化イソベンゾフランとキノンとの反応において、非常に興味深い知見を得た。目的のジケトンは得られずに、ケト-エノール互変異性によってヒドロキノン体が選択的に得られた。今後は、このヒドロキノン体の化学的変換を実施し、高次アセン類の合成に展開したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多様な含フッ素イソベンゾフランの発生が確立でき、さらにイソベンゾフランの環化付加反応を実施できた。フルオロアルキル基を有する共役化合物合成に展開できたため、本研究目的に沿って研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度、H29年度に蓄積した含フッ素イソベンゾフランの環化付加反応の生成物を用いて、多様な構造を有するアセン類の合成を実施する。
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