2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16H04162
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉村 英哲 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (90464205)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | RNA / 蛍光プローブ / バイオイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では新規な定量性RNAプローブの開発および1分子可視化RNAプローブの開発を基軸として生細胞内におけるRNA動態の包括的な可視化解析技術の創出を目的に進めている。前者については可逆的二量体形成蛍光タンパク質ddGFPを用いたプローブを設計した。またRNA認識部位として、既に申請者自身で実績のあるβアクチンmRNAの3' UTRを標的とするmPUM3およびmPUM4を用い、従ってβアクチンmRNAを標的RNAとして設定した。本プローブが標的RNAに結合するとddGFP部分が近接し、ddGFPが二量化することで蛍光性を示す。一方標的RNAが消失するとプローブが互いに離れ、ddGFPが再び単量体となることで蛍光性が消失する。本プローブの遺伝子を作成し、大腸菌発現系からプローブを単離精製した。得られたプローブと標的配列を有する合成RNAを混合し、その後RNaseを加える実験を行った。その結果、標的RNA存在下で蛍光性を示し、そのRNAが分解することで蛍光を消失するプローブの開発に成功した。また後者については、テロメア、テロメア関連タンパク質(hnRNAPA1、HP1、H2A)、テロメア繰り返し配列含有RNA(TERRA)の3者それぞれを可視化するプローブを構築し、1分子同時生細胞内動態追跡を行った。その結果、TERRAはhnRNPA1と有意に複合体を形成する一方、HP1、H2Aとは複合体を形成しないことがわかった。またTERRA-hnRNPA1複合体はテロメアから約1μM離れた領域で特に頻繁に形成されることがわかった。これら1分子動態に基づく解析結果を基に、TERRAの作動機構について1分子動態解析からでしか得られない機能モデル「トラッピングモデル」を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
TERRAの作動機構解析研究において、当初H29年度以降にテロメア、テロメア関連タンパク質、TERRAの3者同時1分子追跡を行う予定であったが、本解析について既に成功し、論文として出版した。またRNA定量プローブについても既に試験管内でRNAの添加と分解に応答して蛍光を示すプローブの構築に成功している。よって本研究は当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
RNA定量プローブ開発については、すでに試験管内で動作するプロトタイプの構築に成功しているので、本プローブの生細胞内RNA検出への適用を目指す。本プローブの遺伝子を生細胞内に導入し、高感度蛍光顕微鏡観察を行うことで、生細胞内での遺伝子発現によるRNA産生可視化能を評価する。TERRA1分子可視化プローブについては、より長時間に渡って1分子追跡が可能な蛍光色素および観察条件を検討し、蛍光退色の影響を抑えたTERRAの生細胞内1分子動態の可視化解析を試みる。得られると予想される治験は前年度までに得たTERRAの足場モデルを補強するデータとなることが期待される。
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Research Products
(8 results)