2016 Fiscal Year Annual Research Report
高度なバンドポテンシャル制御による高機能光触媒の構築
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16H04186
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 英樹 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (60385515)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 光触媒 / 酸窒化物 / 固溶体 / 水分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
新しいバンドポテンシャル制御型酸窒化物として,LaTaON2-CaTiO3,LaTaON2-BaTiO3,Ba1-xCaxTaO2NおよびBa1-xSrTaO2Nの合成を検討した。これらの中で,Ba1-xCaxTaO2NはCaTiO3とBaTaO2Nの混合相が形成され酸窒化物固溶体が得られなかったが,その他の試料では固溶体形成が確認された。Ba1-xSrTaO2NではBaTaO2Nよりも酸素生成反応に高い活性を示すことが確認された。また,LaTaON2-CaTiO3およびLaTaON2-BaTiO3固溶体でもLaTaON2-SrTiO3固溶体と同様に元素置換によりバンドポテンシャルが変化し,酸素生成に活性を示すことを見出した。 正方晶タングステンブロンズ構造を有する酸窒化物Ba3Ta5O14Nの新しい簡便な合成条件を見出し,BaのLa置換により可視光吸収が増大し,量子収率も向上することを明らかにした。 また,LaTaON2-SrTiO3固溶体をフラックス処理すると水素生成活性が向上するものの,助触媒未担持での酸素生成活性が著しく低下することが明らかになった。酸素生成活性はCoOx助触媒の担持により発現したことから,光触媒表面状態の変化が助触媒未担持の際の酸素生成活性に大きな影響を与えていることが示唆された。 LaTaON2-SrTiO3固溶体について,粒子サイズの光触媒活性に与える影響を調べた。酸化物前駆体を大気焼成することで最終試料の粒子サイズを増大させられることが明らかになった。粒子サイズ増大に伴い水素生成活性は減少したものの,酸素生成活性は微増することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新しい組合せの酸窒化物固溶体の合成に成功し,リード化合物に比べて酸素生成に活性な光触媒を創製することができたから。また,フラックス処理の効果と今後克服すべき課題が明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き元素置換によるバンドポテンシャル制御型光触媒の創製を目指し新しい組合せの試料合成を行っていく。これら固溶体光触媒を透明電極上に堆積させて光アノードとしての機能を評価する,特に昨年度の研究でLaTaON2-SrTiO3固溶体が酸素生成に優れた特性を有していることが分かったので,この固溶体の光アノード特性を重点的に調べ高機能化を図る。 さらに,スプレードライ法による酸化物前駆体の調製とその前駆体のアンモニアによる窒化処理による酸窒化物合成を検討し,高活性化を図る。 フラックス処理により酸素生成活性が低下したのは表面特性が変化したためであると考えられる。そこで,フラックス処理時に元素追添を行うことで,表面状態を変化させて特性向上を図る。 さらに,これまでに合成した試料を連携研究者に提供し,過渡吸収分光によるキャラクタリゼーションをおこない。合成条件のキャリア寿命および光触媒特性へ与える効果の相関を調べ,その結果を基に,効果的な修飾法及び合成法の検討を行う。
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Research Products
(5 results)