2017 Fiscal Year Annual Research Report
Field-effect transistors with organic-inorganic perovskite semiconductors
Project/Area Number |
16H04192
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松島 敏則 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 准教授 (40521985)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 有機無機ペロブスカイト / 半導体 / トランジスタ / 大気安定性 / 酸素 / ホール移動度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、有機無機ペロブスカイトを半導体層としたトランジスタにおいて、p型駆動とn型駆動、高移動度化、ヒステリシスを抑制、大気安定性を向上させることを目的とする。28年度までの研究でp型駆動とn型駆動、高移動度化、ヒステリシスの抑制に成功した。そこで29年度は残された大気安定性の問題に取り組んだ。 ペロブスカイトは大気中の酸素で劣化することを明らかにした。他方、水分ではほとんど劣化しないことが分かった。劣化の原因となる酸素の侵入パスを抑制するために、ペロブスカイトグレインを向上させる試みを行った。スピンコートする際の有機溶媒と加熱条件を最適化することで、ペロブスカイトグレインのサイズを増大させ、結晶性を向上させることに成功した。このため、ホール移動度が0.4cm2/Vsから8cm2/Vsに20倍向上した。大気安定性に関しては2倍に向上することがわかった。さらに、フッ素系ポリマーであるCYTOPで封止すると、大気中でほとんど劣化しないペロブスカイトトランジスタが作製できるようになった。 30年度はさらにトランジスタ特性を向上させることを目指して、(1)無機層の厚み制御による高移動度化、(2)非対称電極を用いたアンビポーラ駆動、(3)機能性有機分子をペロブスカイト構造中へ導入することを試みる。もしこのことができるようになれば、発光トランジスタやレーザートランジスタへの研究展開が可能となり、学術的にも産業的にも非常に大きなインパクトが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、有機無機ペロブスカイトを半導体層としたトランジスタにおいて、p型駆動とn型駆動、高移動度化、ヒステリシスを抑制、大気安定性を向上させることを目的とする。28年度までの研究でp型駆動とn型駆動、高移動度化、ヒステリシスの抑制に成功した。そこで29年度は残された大気安定性の問題に取り組んだ。 ペロブスカイトの大気安定性を低下させる原因として大気中の水もしくは酸素が考えられた。そこで本研究では水と酸素のどちらがペロブスカイトの劣化を生じさせるか明らかにすることから着手した。水雰囲気および酸素雰囲気でペロブスカイトの吸収スペクトルの経時変化を測定した結果、酸素によりペロブスカイトの劣化が生じていることを明らかにした。他方、水雰囲気では全く劣化は生じなかった。酸素によりペロブスカイトが酸化されるばかりでなく、ペロブスカイトグレインが凝集し、トランジスタチャンネルが切断されていることが分かった。 ペロブスカイト薄膜のグレインバウンダリーを介して酸素が膜中に侵入したことが考えられた。ペロブスカイトのグレインを大きく成長させることによって酸素の侵入パスを低減させれば、大気安定性が向上するのではないかと着想した。ペロブスカイトをスピンコートする際の有機溶媒を従来の低沸点メタノールから高沸点エタノールに変えるとグレインが大きくなり、結晶性が向上することを見出した。スピンコート後の加熱温度を従来の80℃から100℃に向上させると、さらにグレインが大きくなり、結晶性が向上した。 このようにスピンコート条件を最適化するとホール移動度が0.4cm2/Vsから8cm2/Vsに20倍に向上することが分かった。トランジスタ特性が向上したことに加えて、大気安定性が約2倍に向上した。さらにペロブスカイトの上をフッ素系ポリマーCYTOPにより封止したところ、大気中でもほとんど劣化が生じなくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度までの研究によって、p型駆動とn型駆動、高移動度化、ヒステリシスを抑制、大気安定性を向上させることに成功し、当初の目的の大部分を達成することができた。30年度はさらにトランジスタ特性を向上させることを目指して以下の研究を推進する。 メチルアミン、有機アミン、メタルハライドの組成を制御することで、ペロブスカイト構造中の無機層の厚みを制御することができる。n=∞の3次元ペロブスカイトは自由キャリア密度が高いためにトランジスタとして扱いにくいが、これまで用いてきたn=1のペロブスカイトよりもn=2やn=3のペロブスカイトでは無機層の厚みが大きいために高い移動度が期待される。このような無機層の厚み制御により移動度を向上させる。 これまでの研究によりp型駆動とn型駆動させることに成功した。つまり、本研究成果を用いれば、アンビポーラ駆動が視野に入る。本研究では、ペロブスカイトに電子とホールを同時に注入するために非対称の電極構造を用いる。例えば、シャドーマスクを通して低仕事関数の金属を斜め蒸着し、逆の位置から金電極を斜め蒸着すれば、片側の低仕事関数金属からは電子が注入され、もう片側の金のみの領域からはホールが注入されるために、アンビポーラ駆動が実現できる。 電子移動度をさらに向上させるために、ペロブスカイト構造中の有機層としてn型有機分子を導入する。有機層に導入するn型分子としてペリレン誘導体やフッ素化分子などを用いる。このようなn型有機分子を導入した新規ペロブスカイト構造を構築できれば、無機層にホールが流れ、n型分子からなる有機層に電子が流れるために、アンビポーラ駆動が可能となる。有機層中の有機分子は基板に対して垂直に配向することが知られている。つまり、基板平行方向におけるn型有機分子間のπ軌道の重なりが大きくなるために、通常よりも高い電子移動度が期待される。
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[Journal Article] Simultaneous Edge-on to Face-on Reorientation and 1D Alignment of Small π-Conjugated Molecules Using Room-Temperature Mechanical Rubbing2018
Author(s)
Jean-Charles Ribierre, Toshihiko Tanaka, Li Zhao, Yuki Yokota, Shinya Matsumoto, Daisuke Hashizume, Kazuto Takaishi, Tsuyoshi Muto, Benoit Heinrich, Stephane Mery, Fabrice Mathevet, Toshinori Matsushima, Masanobu Uchiyama, Chihaya Adachi, Tetsuya Aoyamae
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Journal Title
Advanced Functional Materials
Volume: TBD
Pages: 1707038
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] CW lasing from organic thin-film DFB structure and outlook for electrical lasing, Frontiers of Organic Semiconductor Laser 20182018
Author(s)
A. S. D. Sandanayaka, Toshinori Matsushima, Fatima Bencheikh, Takashi Fujihara, Kenichi Goushi, Jean-Charles Ribierre, Masayuki Mamada, Takuji Hatakeyama, Hajime Nakanotani, and Chihaya Adachi
Organizer
South China University of Technology
Int'l Joint Research / Invited
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[Presentation] New materials for fabrication of efficient near infrared OLEDs and organic solid-state lasers2017
Author(s)
Anthony D'Aleo, Dae Hyeon Kim, Atula S. D. Sandanayaka, Dandan Yao, Elena Zaborova, Gabriel Canard, Toshinori Matsushima, Youichi Tsuchiya, Eunyoung Choi, Jeong Weon Wu, Frederic Fages, Jean-Charles Ribierre, Chihaya Adachi
Organizer
SPIE Optics + Photonics 2017
Int'l Joint Research / Invited
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[Presentation] Continuous-wave operation of organic semiconductor lasers2017
Author(s)
Atula S. D. Sandanayaka, Toshinori Matsushima, Fatima Bencheikh, Kou Yoshida, Munetomo Inoue, Chuanjiang Qin, Takashi Fujihara, Kenichi Goushi, Jean-Charles Ribierre, Chihaya Adachi
Organizer
International Symposium on Organic and Polymeric Optoelectronics (ISOPO 2017)
Int'l Joint Research / Invited
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[Presentation] New Materials for fabrication of Efficienct Near Infrared OLEDs and Organic Solid-state Lasers2017
Author(s)
Anthony D’ Aleo, Dae-Hyeon Kim, Atula S. D. Samdanayaka, Ko Inada, Dandan Yao, Elena Zaborova, Gabriel Canard, Li Zhao, Toshinori Matsushima, Youichi Tsuchiya, Eunyoung Choi, Jeong Weon Wu, FredericFages, Jean-Charles Ribierre, Chihaya Adachi
Organizer
NanoMat2017
Int'l Joint Research
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