2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Highly Phosphorescent Organometallic Complexes Based on Precise Control of Excimer Emission
Project/Area Number |
16H04194
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
八木 繁幸 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40275277)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 有機金属錯体 / りん光 / エキシマー / 有機EL / 有機エレクトロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、りん光性有機白金錯体のエキシマー発光について、その発現メカニズムの解明と制御方法の確立を目指している。平成29年度には、高効率エキシマー発光を与える有機白金錯体の機能最適化と、有機白金錯体の二量体化によるエキシマー発光性二核錯体の創製について検討を行い、以下の研究成果を得た。 (1)5’位をベンゾイル置換した2-フェニルピリジナートをシクロメタル化配位子とするヘテロレプティック型有機白金錯体の発光減衰過程を速度論的に解析したところ、エキシマー形成過程が見かけ上不可逆過程であり、5’位へのベンゾイル基の導入が無置換の錯体に比べてエキシマー形成を著しく促進することを見出した。また、5’位に種々の置換基を導入したヘテロレプティック型有機白金錯体のエキシマー形成速度は、パラ位の置換基定数を用いたハメット則に従い、電子求引性が強い置換基ほどエキシマー形成が促進されることを見出した。この結果から、電子求引性置換基がPt-Pt相互作用を介してMMLCT型の電子構造をもつ三重項エキシマーを安定化していることがわかった。 (2)三座配位子と単座配位子からなる有機白金錯体を新規創出し、単座配位子の嵩高さを調節することで固体状態の発光色調を調節することに成功した。特に、立体障害の小さなカルボニル配位子を用いた場合、アモルファス状態で近赤外領域に発光を示すことがわかった。 (3)2分子のヘテロレプティック型有機白金錯体を高い三重項準位をもつスペーサーで連結した二核錯体を合成し、そのエキシマー発光が単核参照物質と比較して増強されていることを見出した。この二核錯体のエキシマー発光は、広い濃度範囲でモノマー発光との強度比が変化しないことから、分子内エキシマー発光であることがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初の研究計画に従って順調に課題をこなすことができ、特に発光減衰の動力学的な解析に成功することによって、エキシマー形成過程のメカニズムの解明が大きく進展した。この研究成果は、エキシマー形成の活性化エネルギーなどのこれまでに研究例のないエキシマー発光のダイナミクスの解析を可能にするため、今後当該研究分野の学理構築に大きく寄与するものと考えられる。本年度はまた、有機白金錯体の発光色調調節においても、三座配位子-単座配位子の組み合わせによって、困難と予想されていた近赤外領域の発光を実現することに成功した。本年度予定していた有機白金二核錯体についても、当該錯体の合成方法を確立することに成功し、さらには分子内エキシマー発光示す錯体を得ることもできた。以上の成果を考慮すると、研究はおおむね計画通りに順調に進んでいると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究結果を踏まえて、まず、エキシマー発光のダイナミクスの解析を進めるとともに、得られた実験結果について、時間依存密度汎関数理論計算を用いることにより、理論的側面からもその妥当性を検証する。有機白金二核錯体の分子内エキシマー発光については、スペーサーを適宜選択して錯体間の配向や距離を制御し、エキシマー発光を制御する因子について検討する。さらには、当該二核錯体を発光材料に用いた電界発光素子の作製も進める。また、本研究を進めながら、同時に国内・国際共同研究による新しい研究展開も模索していく。研究に遅延が生じる場合には、研究協力者(大学院生)の増員を行い、促進を図る。
|
Research Products
(11 results)