2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of High-Performance Electron-Transporting Semiconducting Polymers
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16H04196
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
尾坂 格 広島大学, 工学研究科, 教授 (80549791)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 半導体ポリマー / 共役系ポリマー / n型半導体 / 電子移動度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、有機エレクトロニクスの分野において不足している、高性能電子輸送性半導体ポリマーの開発を目指している。具体的には、「キノイド系」、「π欠損ナフタレン系」、「イミド系」骨格を中心に新規な電子親和力の高いπ電子系縮合多環骨格(アクセプターユニット)を用いて半導体ポリマーを合成している。H29年度は、特にπ欠損ナフタレン系に注力した。新たに、ナフトビスピラジンの効率的合成法を確立し、様々な置換基を有するナフトビスピラジンを用いて新規半導体ポリマーを開発した(Chem. Lett. 2017, 46, 1193)。特に、エステル基を置換基として有するナフトビスピラジンを用いたポリマーは、低いLUMOレベルを持つため、n型半導体としての機能が期待される。また、これまで対称系ナフタレン系骨格を開発してきたが、これらを出発物質とし、非対称ナフタレン系骨格が合成可能であることを見いだした。 また、キノイド系として、昨年度開発してビチオフェンジオンの異性体を有する半導体ポリマーの開発に成功した。この異性体は、従来型に比べて、200nm程度広い吸収波長領域を有することが分かった。 さらに、イミド系として、昨年度開発したジチエノチエノチオフェンイミド(TBI)のチオフェン部位をチアゾールに置き換えた新規ユニット(ジチアゾリルチエノチオフェンビスイミド/TzBI)の合成に成功した。TzBIはチアゾールを有することで、TBIに比べて深いLUMOレベルを有することが分かった。TzBIを有する半導体ポリマーを開発し、これをn型半導体として有機薄膜太陽電池に用いることで、光電変換特性が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初開発予定であったナフトビスピラジンの合成法を種々検討している中で、偶発的に、非対称ナフタレン系骨格の合成法を発見した。これにより、新たに6種類の新規骨格開発に成功した。これらは、大きな双極子を有するため、従来のナフタレン系骨格にはない新しい機能を有する半導体ポリマーの創出に繋がることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度は、エステル置換ナフトビスピラジン系ポリマーのn型半導体としての評価を継続する。また、新規な非対称ナフタレン系骨格を有するポリマーを含む有機半導体の開発を行う。また、キノイド系についてはビチオフェンジオンの異性体、イミド系についてはTzBIなど新たに開発した骨格を有する半導体ポリマーの構造最適化を進め、物性解明、デバイス評価を行う予定である。
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