2017 Fiscal Year Annual Research Report
Precise Syntheses and Applications of Soluble Ladder Polymers by One-dimensionally Regulated Intramolecular ATRP
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16H04198
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
川口 正剛 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 教授 (00204694)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ラダーポリマー / ラジカル重合 / らせんポリマー / ナノ空間 / ATRP / 画分化 / 逆相エマルション / 多官能ビニルポリマー |
Outline of Annual Research Achievements |
ラダーポリマーは、繰り返し単位が2つ以上の結合からなる高分子として定義され、繰り返し単位ごとに環構造を有するユニークな高分子である。ラダーポリマーは通常の高分子よりも熱的・機械的安定性の優れた高分子材料を与えると期待されており、気体の透過性および分離能の両方に優れた気体分離膜に応用できること、液晶ディスプレイ、マイクロエレクトロ用パッケージング剤、さらには非線形光学材料などへの応用が期待されている。しかしながら、可溶性かつ構造が明確なラダーポリマーを合成することは容易ではない。汎用性が高いビニルモノマー群からなる可溶性のラダーポリマーを合成した例は申請者が知る限り皆無である。 申請者らはごく最近、棒状らせん軸上に強く束縛(摂動)を受けたマルチビニル基が溶液重合であるにも拘わらず、主に分子内で速やかに重合し、定量的に可溶性のラダーポリマーを与えることを見出し、1次元摂動重合と名付けた。そこで本申請研究では、この1次元摂動重合とATRP法を組み合わせた1次元摂動分子内ATRP法による可溶性ラダーポリマーの精密合成法を開発し、ラダーポリマーをビルディングブロックとした各種ブロック、グラフトポリマーの合成およびラダーポリマーならではの応用展開を図る。 今年度は、昨年度の結果を踏まえて分子間架橋を抑制するためにナノ空間にマルチビニルポリマーを画分化し、高収率で構造が制御されたラダーポリマーの合成条件の確立を図った。その結果、逆相ナノエマルション滴内で孤立したラジカル重合を行うことによって、分子間架橋が全くなく、二重結合消費率が50%程度のラダーポリマーが合成できることが明らかとなった。今後、ATRPと組み合わせることによって本研究目的が達成できるものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マルチビニルポリマーの合成法の確立、逆相ナノエマルションの特性化、条件が精査され、重合条件がほぼ確立できたため、期間何に研究目的が達成できる見込みがついた。
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Strategy for Future Research Activity |
重合条件がほぼ確立されつつあるので、最終年度は可溶性のラダーポリマーを大量合成し、応用展開までを見据えた研究のより一層の推進が図れるものと考えている。
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