2017 Fiscal Year Annual Research Report
副資材の相間移動と局在化を利用した高分子材料の革新的設計
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16H04201
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
山口 政之 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (40401947)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | レオロジー / 高分子成形加工 / ポリマーブレンド / 添加剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
低分子化合物の添加に伴う高分子材料の特性向上、機能性付与に関する研究を継続して進めている。平成29年度は、低分子化合物の相間移動現象、塩の添加による極性高分子への機能性付与を中心に検討を進めた。その結果、以下のことが判明している。 1.低分子化合物の相間移動現象 非相溶な高分子対であるポリ乳酸とエチレン-酢酸ビニル共重合体にそれぞれフタル酸エステル系可塑剤を添加し、それらを積層して加熱処理することにより、可塑剤の移動現象を調べた。その結果、加熱処理を行う温度によって偏在状態が異なる新しいポリマーブレンドの系を見出した。また、可塑剤の種類を変えることで、変材料とその温度依存性が大きく異なることも明らかにした。このような現象はほとんど報告例がなく斬新であり、また、機能材料の創製に繋がる発見である。特に、幅広い温度で顕著な振動吸収性能を示すダンピング材料への応用が期待できる。本検討に関しては、論文投稿行っているところである。 2.塩の添加による極性高分子への機能性付与 ポリメタクリル酸メチルにリチウム塩を添加することで、ガラス転移温度が大きく向上すること、さらにはそのメカニズムに関して平成28年度までに明らかにしていたが、平成29年度は本特性を利用して、熱膨張の抑制、ガラス状態での複屈折の抑制などが可能になることを示した。また、加熱延伸時に分子配向が生じても配向複屈折が大きくならないことを見出した。これらの特性は、いずれもディスプレイに用いるフィルムなどに求められることから、光学機能材料への応用が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに研究は進んでいる。一方で、塩の添加に関しては、予想以上に多くの高分子種へ適用できそうなことが判明してきた。平成30年度に取り組む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
低分子化合物の相間移動現象に関しては、積層フィルムを用いた基礎実験から、ポリマーブレンド中で移行を確認する。さらには、本現象の応用を意識した実験を行う。特に、低温下で柔らかくなる複合材料、厚くなると曇る透明フィルム、幅広い温度範囲で性能の高いダンピング材料などを考えた材料設計を実施する。 塩の添加では、結晶性高分子や水素結合が強く作用する高分子を対象に検討を進める。どのような機能が発現するか、慎重に見極めて本技術の有用性を示す。
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