2016 Fiscal Year Annual Research Report
自発的マイクロ球体化現象を用いた新奇多孔質球状粒子の合成と徐放性キャリアへの応用
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16H04212
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 義和 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (40357281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 達 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (50267407)
阿部 浩也 大阪大学, 接合科学研究所, 准教授 (50346136)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高温その場観察 / 多孔質球状粒子 / マイクロ球体化現象 / 共焦点レーザー顕微鏡 / 擬ブルッカイト / 三次元ネットワーク構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
多孔質球状顆粒は、ハンドリング性に優れた触媒や触媒担体、ドラッグデリバリーなどの薬剤キャリア、骨補填材料への応用が進められている。これまで我々は、セラミックス原料である炭酸塩や水酸化物・水和物原料中に含まれるCO2やH2Oを、気孔形成に有効利用することにより、造孔剤や有機バインダーを添加することなく、1 ミクロン付近に非常にシャープな細孔径分布をもつ「三次元ネットワーク型多孔質セラミックス」を開発してきた。この過程で、混合粉末の加熱のみで球体化した三次元ネットワーク型多孔体が得られるという非常にユニークな現象を見出した。 平成28年度は、自発的マイクロ球体化現象について、その形成メカニズムを解明するために800℃から1400℃までの大気中高温その場観察を実施した。共焦点レーザー顕微鏡に赤外線加熱イメージ炉を用いた高温ステージを取り付けた特殊な高温観察装置を用いることで、実際の焼結雰囲気に近い環境を実現し、擬ブルッカイト多元系での高温下の微構造変化を動的にとらえることに成功した。実際のその場観察では、炭酸塩原料の熱分解によるサイズ収縮・粒子の再配列、また、多元系成分による液相形成による球体化の進行が観察された。 本研究成果については、2016年7月にモンペリエにて開催されたShaping 6国際会議および日本セラミックス協会秋季シンポジウムで口頭発表するとともに、セラミックス分野では最高のインパクトをもつJ. Eur. Ceram. Soc.に論文投稿を行った(報告書執筆現在、最終的なアクセプトには至っていないが、改訂にてアクセプト可とのことである)。 本研究を遂行するために、X線回折用管球を高輝度のものに交換するとともに、紫外・可視分光光度計を新規に導入した。また、分担者である阿部浩也准教授のグループでは、より小さいサイズの球体の合成についても取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大阪大学接合科学研究所および米倉研究所のご協力もあり、非常にハードルの高かった大気中高温その場観察を実施することができた。当初予定以上の高温下での測定が可能であったことから、球状粒子が最終的に合体していく様子までをとらえることができ、多孔質球状粒子の理解が大きく深まった。 徐放性などの機能性については、実際に検討を進める段階に入っており、概ね順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
多孔質球状粒子を実社会に貢献できる材料とするため、階層的なサイズ制御および液体成分の徐放機能付与をすすめる。新しい組成としては、バーミキュライト等の天然鉱物をベースとし、鉱物由来の微細な細孔を液体吸蔵部分、人工的に付与する大型貫通孔を有害物のトラップとして用いる新しい環境改善材料を作製する。
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Research Products
(4 results)