2018 Fiscal Year Annual Research Report
自発的マイクロ球体化現象を用いた新奇多孔質球状粒子の合成と徐放性キャリアへの応用
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16H04212
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 義和 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (40357281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 達 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (50267407)
阿部 浩也 大阪大学, 接合科学研究所, 准教授 (50346136)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 多孔質球状粒子 / マイクロ球体化現象 / ブルッカイト / スピネル / 三次元ネットワーク構造 / サイズ制御 / 階層構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
多孔質球状顆粒は、ハンドリング性に優れた触媒や触媒担体、ドラッグデリバリーなどの薬剤キャリア、骨補填材料への応用が進められている。 これまで我々は、セラミックス原料である炭酸塩や水酸化物・水和物原料中に含まれるCO2やH2Oを、気孔形成に有効利用することにより、造孔剤や有機バインダーを添加することなく、1 ミクロン付近に非常にシャープな細孔径分布をもつ「三次元ネットワーク型多孔質セラミックス」を開発してきた。この過程で、圧粉体を作らずに混合粉末を仮焼し微細組織を観察したところ、加熱のみで球体化した三次元ネットワーク型多孔体が得られるという非常にユニークな現象を見出した。 平成30年度は、自発的マイクロ球体化現象について、(1)種々の高温その場観察法を駆使した、マイクロ球体生成メカニズムの解明、(2)用途に応じたマクロな顆粒サイズおよび細孔径サイズのチューニングと金属ナノ粒子担持、(3)液体燃料・溶剤等の徐放性キャリア性能の検証および触媒反応場としての機能性検証、という3項目について検討を進めた。特に、(2)については、中空状ブルッカイトTiO2が水熱合成処理によって得られることが分かり、多孔質球状顆粒の新しい合成法の可能性が示唆された。また、細孔径チューニングについて、MgAl2O4スピネル系で積層型構造に関する知見を得ることができた。(3)については、Co3O4系メソ・マクロ階層構造多孔体の合成に成功し、スーパーキャパシタとして液体が関与するエネルギーキャリアとしての性能を検証することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を遂行するために、平成30年度はX線回折装置用のデータベースICDD PDF-2の更新を行った。これにより、合成した物質の定性分析および反応パスの検討が可能となった。液体徐放可能な多孔体について、より現実的なアプリケーションに近づけるため、スーパーキャパシタへの展開を進め、優れた特性を得ることにも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
多孔質球状粒子を実社会に貢献できる材料とするため、引き続き、階層的なサイズ制御および液体成分の徐放機能付与をすすめる。また、多孔質球状粒子を擬ブルッカイト系・スピネル系・ブルッカイト系以外の複合酸化物に適用し、引き続き、環境改善材料・エネルギー貯蔵材料への展開を進める。
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