2017 Fiscal Year Annual Research Report
広温度域動作性と高表面活性をもつ新規振動子材料の開発
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16H04214
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
武田 博明 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (00324971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯部 敏宏 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (20518287)
奥寺 浩樹 金沢大学, 自然システム学系, 准教授 (50401881)
鶴見 敬章 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (70188647)
保科 拓也 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (80509399)
小玉 展宏 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (90282152)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 圧電センサ / 単結晶 / 高温特性 / 生体活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ゲーレナイト結晶をベースに新規圧電単結晶を合成し、これらの高温物性・表面特性・生体活性を明らかにし、振動子の構造設計・試作・評価することで、広い温度域で動作可能で高表面活性をもつ水晶マイクロバランスを凌駕する微小質量センサや弾性表面波(SAW)バイオセンサ等を提唱することである 本年度は、ゲーレナイトのSAW特性評価を行い、各種センサ応用への可能性を検討した。 昨年度得られたゲーレナイトの材料定数(比誘電率、弾性定数、圧電定数)を用い、CampbellとJonesの解析法に基づき、漏洩弾性表面波とレイリー波の解析を行った。漏洩弾性表面波の解析では、XカットY軸伝搬の回転板にて、水平成分の変位が他の成分より大きくなるカットが存在し、液相系センサへ応用可能なSH-SAWを励振する可能性を明らかにした。また、レイリー波の解析では、ZカットX軸伝搬の回転板にて、水晶と同程度の電気機械結合係数を示すカットが存在することを明らかにした。最後に、このZカットX軸伝搬の回転板に櫛形電極を作製し、レイリー波の実測を行い数値解析結果との比較を行った。この伝搬面のエタノール負荷による伝搬特性の変化を観測したところ、減衰が観測でき、励振した波がレイリー波であることを確認した。また、レイリー波の実測値と解析結果を比較したところ、実測値と解析結果の誤差は1%未満であった。以上より、得られた材料定数、解析結果が妥当であることがわかり、ゲーレナイトのレイリー波を用いたSAWセンサ応用への可能性を示すことができた。 また、高温振動子評価システムの構築として、寄生容量を極力抑えた圧電評価ユニットを開発し、比誘電率が正確に測定でき、また、室温から700℃までの材料定数の温度係数を求めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に入力した研究計画は、ゲーレナイト系結晶に関して、(1)QCMセンサとして重要な厚み振すべり振動モードの評価およびSAW特性を評価すること、(2)高温動作型微小質量センサの特性を評価できる高温振動子評価システムの構築に着手することである。(1)について、厚み振すべり振動モードを示す基板方位は見つかったものの、まだ実測していない。SAW特性評価ではレイリー波を用いたSAWセンサ応用への可能性を示すことができた。よって、(1)の達成度としては60%である。(2)について、室温から700℃まで測定できる圧電評価ユニットを作製し、材料定数の温度変化を求めることができた。よって、達成度は100%である。以上を総合すると、達成度は80%となり、本申請研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の最終年度である平成30年度には実際にSAW素子を用いたセンサのプロトタイプを提唱する。業績概要にあるように、レイリー波を用いたSAWセンサ応用への可能性を示すことができている。そこで、櫛形電極の材料や形状、サイズを最適化して素子作製を行い、実際にSAW特性を評価し、SAW温度センサを提案する。さらに、SH-SAWの実測も行う予定である。また、バイオセンサを目標にゲーレナイトの異なる結晶面が細胞の増殖性や形態に与える影響を検討する。なお、得られた成果は取りまとめ学会発表および論文発表を行う。
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Research Products
(7 results)