2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16H04236
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
垂水 竜一 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (30362643)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 超音波共鳴法 / 金属構造体 / 弾性特性 / 共鳴周波数 / マイクロポーラー弾性理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年のAM技術の発展に伴って,複雑な三次元形状を持つ新しい構造用金属材料の作成が可能となりつつある.本研究では,こうした構造体の持つ複雑な弾性特性を完全に決定するための超音波計測の基礎技術と,その解析のための基礎理論の構築を目的に研究を進めている. 今年度は,当初研究計画に従って,三次元構造体の作成と超音波共鳴法による共鳴周波数計測を行った.三次元構造体の作成には大阪府立産技研の金属積層造形装置を用い,マルエージング鋼粉末を出発材料としたレーザー積層造形によって,単純立方格子をユニットセルとした三次元金属構造体の作成に成功した.更に,得られた構造体に対して三点支持型の超音波共鳴法による共鳴スペクトル計測を室温・大気環境中において行った.その結果,この構造体の持つ大きな内部摩擦を反映して,極めてブロードな共鳴スペクトルが得られたが,共鳴周波数自身は十分決定することができた.得られた超音波計測結果の妥当性を検証するため,有限要素法を用いて計測した構造体の共鳴周波数を数値計算し,これを実験結果と比較した.具体的には,マルエージング鋼のヤング率とポアソン比を有限要素モデルに入力して共鳴周波数を順計算し,これを実験結果と比較した.その結果,両者は良好な一致を示すことが明らかとなった.このことは,共鳴周波数の計測・逆解析を利用した三次元金属構造体の弾性特性評価が原理的に可能であることを意味している.このように,当初の研究計画に従った初年度の実験研究を完了することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,当初計画していた研究をほぼ予定通り達成することができた.問題点としては,作成した三次元金属構造体の内部摩擦が当初の予想以上に大きく,そのため共鳴周波数の決定精度が低下するという問題も生じているが,この問題については実験側の工夫で対応することができている.
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Strategy for Future Research Activity |
研究はほぼ当初の予定通り進めることができているため,今後の推進方策としては,当初の予定通りに進めたいと考えている.具体的には,今年度は超音波共鳴法によって得られた共鳴周波数を逆解析して弾性定数を決定するための,共鳴振動理論の構築・解析を重点的に進める予定である.
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