2017 Fiscal Year Annual Research Report
ワイヤー+アーク放電方式による金属材料の付加加工における形状精度と健全性
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16H04241
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
笹原 弘之 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00205882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中本 圭一 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90379339)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 機械工作・生産工学 / アディティブ・マニュファクチャリング / アーク放電 / モニタリング / 金属組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
ワイヤー材料をアーク放電を熱源として溶融し積層する独自の高能率な付加加工の手法において,造形精度と造形物の健全性を向上する手法の開発を行った.この方法で,①積極的な冷却を行う事により凝固時の金属結晶微細化とそれによる強度向上,②造形物の温度と形状をモニタリングし造形条件にフィードバックし,造形精度の向上をねらった. 1) 積層金属の溶融・固化のプロセスにおける冷却速度の検討: ワイヤ+アーク放電による金属の溶融・固化による積層造形物の金属組織と形状精度を制御するためには、固化する過程における冷却プロセスを制御する必要がある.本年度は冷媒に空気を用い,特にパス間温度の影響について検討を行った.パス間温度のモニタリングし,それを一定に保つことにより薄い壁を造形する際の形状精度を高めることが可能となった. 2) 形状,温度のインプロセスモニタリング手法の開発: 二次元レーザセンサを走査することにより三次元的な造形形状あるいは現在付加中の形状をモニタリング可能とした.また,赤外線サーモグラフィにより造形物の表面温度を測定し,同時に溶融池の状態をもモニタリングできるカメラを設置し,温度モニタリング結果については造形条件の変更に利用可能となった. 3) 冷却速度や造形条件に依存する金属組織・強度・疲労特性との関係の解明: 冷却速度や造形条件に対する,金属組織・強度について調査した.冷却速度が高いと金属組織は微細化し形状のダレが小さくなる,強度的には向上することがわかった.一方で残留応力の発生が造形後の製品のゆがみに影響することがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1) 形状,温度のインプロセスモニタリング手法の開発が進み,改良の余地はあるものの,造形中の形状,温度,溶融池の状態をモニタリングし,温度については造形条件の設定にフィードバック可能となった. 2) 冷媒に空気を用いて,冷却速度とパス間温度の影響について検討を行い,パス間温度の管理により薄い壁を造形する際の形状精度を高めることが可能となった. 3) 冷却速度や造形条件に対する,金属組織・強度について実験的な調査を行った
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Strategy for Future Research Activity |
・形状,温度のインプロセスモニタリング手法の改良を行い,形状,温度,溶融池の状態と造形結果との関係を統合的に把握できるシステムとする.モニタリング結果から,造形条件へのフィードバックを可能とし造形の安定化と高精度化を図る.①あらかじめ取得した造形条件と付加部分の高さ・幅の情報,②現在付加部分と一層下の形状情報,③造形物の表面温度,④金属組織の状態に関する情報,の4つの情報を元に狙いの形状と狙いの金属組織状態を実現するような造形条件(電流,電圧,ワイヤー送給速度,トーチの移動経路)を修正し,NCコントローラとアーク溶接機にフィードバックするシステムを開発する. ・冷却速度や造形条件に対する,金属組織・強度・疲労特性を実験的に調査し,その影響を明らかにする. ・造形とバニシングを組み合わせた手法の開発を行う.
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