2016 Fiscal Year Annual Research Report
分子形態を制御したカーボンオニオンナノ砥粒による超精密ポリシングの高度化
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16H04242
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
平田 敦 東京工業大学, 工学院, 教授 (50242277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青野 祐子 東京工業大学, 工学院, 助教 (20610033)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 精密研磨 / ナノ材料 / 機械工作・生産工学 / 材料加工・処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
グラフェンが閉殻構造をなすナノカーボン粒子であるカーボンオニオンついて,分子レベルでの形態を制御して,ナノスケール砥粒としての超精密ポリシング機能の高度化を図り,その新たな学術創出を目的とし,物理的作用により原子レベルの平坦性とダメージフリーの加工面を実現し,低環境負荷,グリーンプロセスに寄与するナノ粒子援用ポリシング技術開発の基礎とする成果を得ることを目指している. 平成28年度のひとつ目の課題として,分子形態・構造・粒径が多様なカーボンオニオンの多量生成技術の確立を検討した.カーボンオニオンの生成法として不活性雰囲気での熱処理法を選択した.熱処理法では,ナノダイヤモンド,カーボンブラックを原料として用いるが,原料粒子の加熱温度によってカーボンオニオンの分子形態がコア/シェル構造,球形,多角形,中空構造などに変化し,特に中空多角形構造のカーボンオニオンを生成するには2500℃以上の高温が必要となることから,最高温度2500℃以上の不活性雰囲気中での加熱を実現するため,最高出力10 kW以上の高周波電源を用いた雰囲気調整炉を製作した.高周波電源は設備備品として購入した.安定して目標の高温を得るための黒鉛るつぼの形状・寸法の規定,カーボンフェルトを用いた断熱構造の工夫を進めている. ふたつ目の課題として,申請者所有の自公転平行平板型超精密研磨盤により実験的にカーボンオニオンの超精密ポリシング機能の基礎的特性の検討を行った.その結果,純水を用いたカーボンオニオンでは,濃度上昇とともに到達面あらさを維持したまま研磨速度が増加すること,硬質かつナノ粒子を保持しやすいパッドが高研磨効率に適すること,微細粒径のカーボンオニオンほど研磨速度が高いことを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大きな課題である「分子形態・構造・粒径が多様なカーボンオニオンの多量生成技術の確立」と「カーボンオニオンの超精密ポリシング機能の基礎的特性の検討」について,ほぼ計画通りに進展し,有用な結果が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
「分子形態・構造・粒径が多様なカーボンオニオンの多量生成技術の確立」と「カーボンオニオンの超精密ポリシング機能の基礎的特性の検討」については継続して検討を続ける.さらに,「走査型プローブ顕微鏡法/ナノインデンテーション法を複合した圧縮試験法によるカーボンオニオン単一独立粒子の機械的特性評価」をおこなう.機械的な擦過作用を原理としたポリシングメカニズムを解明するには,砥粒と工作物の物理的相互作用が密接に関係するため,砥粒の硬さ,弾性挙動,破壊挙動など基礎的な機械的特性を把握する必要がある.そこで,カーボンオニオンの単一独立粒子に対して走査型プローブ顕微鏡法とナノインデンテーション法を複合した圧縮試験法を開発する.
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Research Products
(2 results)