2017 Fiscal Year Annual Research Report
水素サイクルによるケミカルフリー高品位半導体基板創成プロセスの開発
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16H04245
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大参 宏昌 大阪大学, 工学研究科, 助教 (00335382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安武 潔 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80166503)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | プラズマ / 水素 / シリコン / 特殊加工 / ウエハ |
Outline of Annual Research Achievements |
本加工法において水素ガスの循環・再利用は、材料の消耗コストを低減するために非常に重要な要素であり、水素を循環再利用するに当たっては、雰囲気中不純物がシリコンの加工特性に与える影響を明らかにすることは重要である。このため、本年度は、水、窒素、ならびにシランがシリコンの加工特性に与える影響を調査した。この調査を進めるに当たり、超微量の水分を水素中に添加するための装置を考案・製作した。開発した装置を利用することで、不純物レベルが1 ppbの水素に対して、4 Paから6×10-3 Pa の範囲で水分を添加することに成功した。本装置を用いて微量な水分添加を行った水素によりシリコンを加工すると、水素雰囲気中の水分分圧が1.5×10-2 Paを上回ると、水分分圧の上昇に対して加工速度が微減し、0.2 Pa以上では、水分分圧の上昇とともに急激に減少する傾向が見られた。このことから、加工雰囲気中の水分分圧としては、0.2 Pa以下に抑制する必要があることが分かった。得られたシリコン加工面の表面粗さは、水分分圧が6×10-2 Paのとき最小となり、Ra=0.64 nmとなった。一方、水分分圧を極力低減した雰囲気下で加工を行うと、表面粗さは予想に反して増大しRa=50 nmに達すること、さらに加工面上に逆ピラミッド型のテクスチャー構造が出現することを新たに発見した。6×10-2 Pa以上の水分分圧においてその上昇とともに表面粗さが粗大化するのは、加工面上に形成される酸化物がエッチングマスクとして作用するためであることが明らかになった。また、加工特性に与える残留シランの影響は、シラン濃度が0.05%以上となるまでエッチングレートの低下は見られ無いことが明らかとなった。 以上の検討により、水素循環を行うに当たり、必要となる雰囲気条件が解明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の当初計画は、本手法に対して水素の循環利用を適用することである。この計画に基づき、本手法の水素の循環再利用が可能か否か?、また再利用を行うためにはどの程度の雰囲気中の不純物が許容されるか?について解をえるための研究を実施し、循環利用は水素不純物の条件をクリアすることで可能で有り、それを実現するための具体的な数値が明らかになった。また、研究過程において、太陽電池への応用上非常に有用な逆ピラミッド状の加工面が、薬液を一切用いること無く得られることが新たに発見されるとともに、加工面の大面積化に向けた研究も進捗している。従って、研究は概ね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は、概ね順調に推移しており、本年度取得した加工面の大面積化に向けた基礎データを利用して、実用面積でのシリコンの薄化加工を完成させる。また新たに明らかになった超清浄水素雰囲気におけるシリコン加工表面の粗面化現象についてその原因を明らかにすべく研究を推進するとともに、シリコンへの水素誘起欠陥を利用したゲッタリング効果についてもさらに検討を進める。また、炭化ケイ素についてその加工特性を見極め、本手法の展開性を見極める。
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Research Products
(7 results)