2018 Fiscal Year Annual Research Report
機械特性向上のためのフェムト秒レーザピーニング技術の開発
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16H04247
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐野 智一 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (30314371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 朋己 大阪大学, 工学研究科, 助教 (30756333)
廣瀬 明夫 大阪大学, 工学研究科, 教授 (70144433)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フェムト秒レーザ / レーザピーニング / フェムト秒レーザ駆動衝撃波 / アルミニウム合金 / ドライレーザピーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らはこれまで、フェムト秒レーザピーニングによって疲労特性や硬さといった機械特性が向上すること、高密度転位を有する特異なナノ結晶が形成されること、さらにピーニング初期過程ではこれまで予想されなかったような超高速でかつ巨大に変形することを見出してきた。しかしながら、これら機械特性、微細組織、および格子ひずみの動的挙動の相関関係は明らかになっていない。そこで本研究では、これらの相関関係を明らかにすることによってピーニング効果発現機構を解明し、さらにフェムト秒レーザピーニング施工条件を最適化し、溶接部への適用の指針を導くことによって、機械特性を向上させるための「生産加工技術」としてフェムト秒レーザピーニング技術を確立することを最終目標とする。フェムト秒レーザピーニング技術の航空機部品への適用を目指し、航空機産業で広く用いられている3種類のアルミニウム合金A2024-T3、A6061-T6、A7075-T73を供試材料として用いる。今年度は、当初計画の「(2)フェムト秒レーザピーニング効果発現機構の解明とモデル構築」と「(3)新しいレーザパラメーターの導入および施工条件の最適化」に取り組み、計画通りの成果を得ることが出来た。さらに、前倒しで進めている「(4)フェムト秒レーザピーニングによる溶接継手の性能向上」にも取り組み、レーザ溶接継手だけでなく、FSW継手に対しても、疲労特性も向上させることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、4年間で以下の4つの大項目に取り組む予定である;(1)フェムト秒レーザピーニング施工条件が機械特性および微細組織に及ぼす影響の評価、(2)フェムト秒レーザピーニング効果発現機構の解明とモデル構築、(3)新しいレーザパラメーターの導入および施工条件の最適化、(4)フェムト秒レーザピーニングによる溶接継手の性能向上。当初計画では、今年度は(1)、(2)、(3)に取り組む予定であったが、これらが順調に進み、さらにアルミニウム合金を複数の手法で溶接することが出来たため、計画を前倒しして(4)にも取り組んだ。その結果、(1)、(2)、(3)だけでなく、(4)でも良好な結果を得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、研究項目「(2)フェムト秒レーザピーニング効果発現機構の解明とモデル構築」のうち、「(2-4) 機構解明とモデル構築」を完結し、論文を執筆する。研究項目「(3)新しいレーザパラメーターの導入および施工条件の最適化」のうち、「(3-2) レーザパルスの時間プロファイルの影響評価」と「(3-3) ナノ秒レンジプレパルスの影響評価」には引き続き取り組み、「(3-4) 施工条件の最適化」に新たに取り組む。研究項目「(4)フェムト秒レーザピーニングによる溶接継手の性能向上」のうち「(4-1) フェムト秒レーザピーニング処理された溶接継手の特性評価」には引き続き取り組み、「(4-2) 溶接継手の性能向上のための指針」に本格的に取り組む。
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