2018 Fiscal Year Annual Research Report
臨界点を跨ぐ超臨界流体中におけるマルチフィジックス熱流動のメカニズム解明
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16H04261
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 悟 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (90192799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古澤 卓 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (80637710)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 数値流体力学 / 超臨界流体 / 数理モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度実施した研究はまず、超臨界二酸化炭素熱流動の数値解法を三次元圧縮機翼列流れに拡張した。数値計算対象として、サンディア国立研究所が開発した遠心型圧縮機動翼列を通る超臨界二酸化炭素熱流動を数値解析した。その結果、超臨界流体特有の熱物性を正確に考慮して動翼列を通る熱流動が計算できるようになった。その研究成果は、2019年10月に東京で開催されるガスタービン国際会議で発表する予定である。なお、高温・高圧環境における非平衡凝縮モデルを用いたノズルを通る超臨界二酸化炭素熱流動の研究成果について2018年6月にノルウェーで開催されたASME Turbo Expoで発表した。また、超臨界二酸化炭素熱流動の数値解法に関する研究が高く評価されて、英国化学会(Royal Society of Chemistry)から著書の分担執筆の依頼があり、2018年9月に出版された。次に、簡易吸熱モデルを提案して超臨界炭化水素熱流動を数値解析した。炭化水素の高温領域では、分解反応が起きて吸熱することがわかっており、化学反応を考慮する必要があるが、その前段階として、炭化水素の分解による吸熱を簡易的に考慮する手法を提案した。その手法に基づく数値解法により、JAXAが実験を実施した超臨界炭化水素熱流動を数値解析した。その結果、温度上昇に伴い、吸熱量が増加する傾向を数値計算で捕獲することに成功した。この研究成果については、2019年7月に開催されるASME-JSME-KSME 2019 Joint Fluid Engineering Conferenceで発表の予定であり、論文はすでに採択されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目標としていた3つの対象のうち、三次元圧縮機動翼列を通る超臨界二酸化炭素熱流動の数値解法がほぼ完成した。現在具体的な計算対象を数値解析しているところである。今後は、さらに臨界点近傍の計算を実施して非平衡凝縮の有無について検証するのと同時に、動翼後方のディフューザーも付加して計算を拡張することで、より現実的な熱流動に拡張することができる。また、超臨界炭化水素の熱流動についても、簡易的ではあるが化学反応に伴う吸熱反応を考慮する数理モデルを開発することができた。研究の最終年度において、より現実的な化学反応モデルを考慮する計画である。なお、3つ目の研究対象として実施してきたRESSプロセスの非定常計算については、計算結果を検証するための信頼性のある実験データが入手できないことから、これ以上の検討は現段階では困難と判断して取りやめることにした。
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Strategy for Future Research Activity |
現在順調に研究が進行している三次元圧縮機翼列を通る超臨界二酸化炭素熱流動と、次世代ロケットノズル冷却を想定した超臨界炭化水素の熱流動の数値解法の開発に最終年度では集中して取り組む。いずれも計算が大規模かつ複雑化してきていることから、スーパーコンピュータの使用が前提になり、かつ並列計算を最適化する必要がある。
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Research Products
(9 results)