2016 Fiscal Year Annual Research Report
脳循環動態予測のためのデータ同化全身循環血流解析システムの構築
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16H04264
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大島 まり 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (40242127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 周 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (30272371)
庄島 正明 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (80376425)
仁木 清美 東京都市大学, 工学部, 教授 (40218095)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脳血管疾患 / データ同化 / 全身循環血流解析 / マルチモダリティデータ / 1D-0D解析 / 可視化インターフェース / 末梢血管抵抗 / ステント留置術 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梗塞の原因となる動脈硬化症では、重度の狭窄が生じた場合にステント留置手術などが行われる。しかし、手術後に脳出血や再狭窄を起こす場合があり、手術後の脳循環動態の予測が求められている。手術による血行動態の変化は全身に及ぶため、全身循環を模擬し、かつ、様々な手術に対応したケース・スタディを効率的・効果的に行う必要がある。本研究は、1D-0D (One-Zero Dimensions)解析による全身循環血流解析と患者の医用計測データ同化により、患者個人の各々の状況に対応した脳循環動態の予測手法およびシステムの開発を目的としている。研究内容としては、1)異なる医用計測データ(マルチモダリティ)からの血管形状や血流情報の情報抽出手法の開発、2)データ同化によるマルチスケール全身循環血流解析の開発、3)データとシミュレーションを結ぶ可視化機能を持つインターフェースの構築、の3点に重点を置いて横断的に研究を推進する。 初年度である平成28年度は「Phase I:マルチモダリティ・データによる1D-0D全身シミュレーションと可視化ツールの開発」を年次目標として、PC-MRAやSPECTから得られる速度情報や末梢血流量のシミュレーションへの導入を行った。現行の1D-0Dは統計データをもとにシミュレーションを行っていることから、患者個別に対応するために一部に患者個人の血管形状データや速度情報を導入した。そのような場合には、パラメータの調整を行う必要があるため、アドホックなパラメータ調整ではなく、マルチモダリティ・データの特性および1D-0D数値解析手法や物理的な数理モデリングに基づいた調整手法を検討した。また、3Dシミュレーションのように市販の可視化ソフトウェアが1D-0D解析にはないことから、可視化ツールを独自開発を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の具体的な目標として、(1-1)データ特性の把握と抽出、(2-1)マルチモダリティ・データ によるシミュレーション、(3-1)可視化ツールの開発、を掲げ、研究を推進した。それぞれの進捗状況は以下の通り。 (1-1)患者個人のデータとしてCT、MRI、SPECTなどの情報を研究分担者の庄島氏および研究協力者の山田氏より提供いただき、それらのデータから血管形状や血流速度データを抽出した。特に、SPECTからは末梢血流量の情報を抽出することで、患者個人に対応した末梢血管抵抗の値を決める手法を確立した。これらのデータを用いることにより、複雑なネットワーク構造をしている脳内の血流分配を求めることに成功した。 また、研究分担者の仁木氏からCTや超音波計測による血管径や血流計測の時間変化を含めたデータを提供いただき、特に1D-0D解析で用いる血管形状データの更新および、流量の時間変化も含めた解析結果の妥当性の評価を行った。 (2-1)血管の弾性、質量および運動量の保存式、圧力と血管径の関係式を導入した1Dシミュレーションを脳循環を含めた83本の動脈に対して行った。また、0Dモデルとして毛細血管、静脈、心臓を電気回路のアナロジーを用いて解析した。次に、(1-1)で得られた患者個人のマルチモダリティ・データを脳血管に対して適用したシミュレーションを行い、統計データとの差異を修正した。する必要がある。そこで、脳循環の生理学的および力学的な点を検討・考慮し、修正法に反映することでマルチモダリティ・データに対応したシミュレーション手法を開発する。 (3-1)Open GL等を用いて、研究室で開発している3次元の形状モデリングのプログラムであるV-Modelerに、マルチモダリティ・データの可視化も合わせて表示できるように開発した。
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Strategy for Future Research Activity |
具体的な年次目標として、次年度は平成28年度の研究をまとめるとともに、新たに以下について研究を開始する。 (2-1) データ同化手法:PC-MRIから血流速度を得ることができ、一方、SPECTからは末梢流量を得ることができる。しかし、計測手法や画像が異なることから、脳内の表している領域や単位も異なる。このような異なるデータをシミュレーションにどのように入力データとして用いることができるかを再検討する。また、術前や術後のデータを比較することで、脳内の血流分配を決める要因の一つである末梢血管抵抗の予測方法について検討する。 (2-2)精度検証と末梢血管抵抗の予測:1D-0D解析の精度評価を行う必要がある。そこで、同じ患者のデータを用いて3D詳細解析を行い、1D-0D解析結果を比較して、精度検証を行う。また、四肢に関する超音波データや、術前および術後のPC-MRIやSPECTと比較し、さらにデータ同化手法を取り入れながら、末梢血管抵抗の予測を行う手法を開発する。 (3-2) インターフェースの開発:ステント留置やバイパス手術などの外科手術を行う場合には、血管形状を変化させる必要がある。インタラクティブに血管形状を変化させ、シミュレーションにフィードバックできるようなインターフェースを開発することで、臨床において迅速に様々なケース・スタディができるようなプラットフォームを構築する。
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Research Products
(17 results)
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[Presentation] Development of an integrated Multi-Scale Simulation System with Multi-model Data for Cerebral Circulation2016
Author(s)
Oshima, M., Zhang, Z., Kobayashi, M., Yamada, S., Liang, F., Takagi, S.
Organizer
2016 Summer Biomechanics, Bioengineering and Biotransport Conference(SB3C)
Int'l Joint Research
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