2016 Fiscal Year Annual Research Report
光学的圧力センシング法の微圧,移動体,液体流れ計測への展開
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16H04265
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
亀田 正治 東京農工大学, 大学院工学研究院, 教授 (70262243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中北 和之 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主幹研究開発員 (50358595)
岩見 健太郎 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80514710)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 流体工学 / 流体計測 / 流体機械 / 感圧塗料 / 機能性分子センサー |
Outline of Annual Research Achievements |
物体表面の圧力を非侵襲で測る光学的方法の空力騒音,液体流れへの適用を目指して,流体工学/光物理/光化学/機能性高分子を専門とする研究者でチームを組み,3つのテーマを追求した. まず,空力騒音を評価に必要な物体表面の微圧変動をとらえるための感圧塗料非定常計測データ画像処理法の開発を進めた.いくつかの手法を比較検討した結果,サンプリング数を増やすことで周波数領域における解像度を高める方法(Full data FFT法)や,騒音計データと感圧塗料計測データの相互相関(コヒーレンス関数)を感圧塗料データのパワースペクトルに乗じるコヒーレントアウトプットパワー(COP)が,データのS/N比を高める有効な方法であることがわかった (Noda et al. AIAA Paper 2017).また,本手法をNACA 0012翼の後縁ノイズ計測に適用し,迎角による変動の違いをとらえることに成功した(Noda et al. 2016など). 次に,回転翼表面定常,非定常圧力場計測システムの構築を進めた.物体の移動による励起光強度の非一様性に依存しない手法である寿命法を選択して計測システムのセットアップ,データ処理プログラムを作成し,NACA 0012翼の後縁ノイズを対象に実証試験を行った. 最後に,液体中でも使える光学的感圧フィルムセンサの開発に着手した.金属ナノ粒子を担持した弾性膜を圧力により変形させ,その表面プラズモン共鳴の吸光特性から圧力を行う,という方法を考案し,適切なAu粒子担持フィルムの試作に成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず,微小変動圧力場の検出目標である振幅1 Paを達成できるめどが得られた.また,変動圧力用PSP画像データ処理法として,概要に記したFull data FFT, COPに加えて,輝度分布の特異値分解(SVD)を組み合わせたプログラムを作成し,比較検討を行ったところ,感圧塗料画像のように,流れ起因の変動に比べて画像のショット雑音強度が大きいデータの場合,特異値分解から流れ起因の成分を特定することは困難であることも分かり,概要で示した手法の有効性を確認できた. つぎに,寿命法に基づく移動体圧力場計測システムを構築し,固定翼による実証試験において平均圧力1 kPa 以内,変動圧力rms 値で100 Pa 程度の圧力分布を得ることに成功した.より詳細な解析より,固定模型については,一般的な強度法ベースの手法(Noda et al. 2017など)と同じオーダーのS/N比で変動パワーの算出が可能であることがわかった. 最後に,液体中に置かれた物体周りの圧力分布を光学的に測定する方法として,金属ナノ粒子を配列し担持させたポリマーフィルムを用いて,変形にともなうプラズモン共鳴の変化を光学的にとらえるセンサを考案し,試作まで進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,Full data FFT,COPによる微小変動圧力場計測の検出特性を定量化し,雑誌論文(Exp. Fluids)の形で公表する. 次に,移動体に適用可能な寿命法ベースのPSP圧力場計測システムの開発を続ける.本年度に開発した測定システム,プログラムを用いて,固定翼,振動物体,回転翼に対する圧力場計測を実施し,すべての対象について平均差圧で1 kPa以内,変動圧力rms 値で100 Pa 程度の圧力分布をとらえられることを実証する.並行して,物体自体の変形量の計測とそれを用いたPSPデータの補正法に関するプログラムも開発する. 最後に,感圧フィルムセンサの性能評価を進める.本年度に製作した金ナノ粒子フィルムを評価する圧力印加試験装置を製作し,その装置を用いて感圧特性を明らかにする.評価結果を踏まえて,受圧面のポリマーフィルムの機械的性質(弾性係数など)の最適化,格子状のスペーサを用いたセンサのアレイ化に取り組む.
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Research Products
(5 results)