2016 Fiscal Year Annual Research Report
棒状あるいは平板状粒子・分子を含む複雑流体の塗布による配向膜形成技術の開発
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16H04266
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
高橋 勉 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (20216732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉武 裕美子 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (80453794)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 非ニュートン流 / 塗布 |
Outline of Annual Research Achievements |
形状に方向性のある粒子が分散した懸濁液や色素会合体によるクロモニック液晶を塗布することで粒子または分子が配向した膜を形成する技術の開発を目指し,平成28年度は研究実施計画に従い異方性形状を有する粒子や液晶の流動配向の確認および粘度異方性の発現の確認を行い,さらに新しい塗布可視化装置の設計,製作を行った.流動配向と粘度異方性の確認については,長さが20から200マイクロメートル程度,直径が数マイクロメートルのグラスファイバーおよびカーボンファイバーを分散粒子として使用し,新たに開発した可視化用の粘度異方性測定用流路を用いて流動中の粒子の配向と同時に粘度測定を行い,粒子配向と粘度異方性発現の関係を明確にした.低濃度の分散液では粒子配向は主流と直交するせん断をわずかに印加するだけで配向が崩れ,粘度異方性が発現しないが,ある濃度以上となると主流方向に配向した粒子は直交方向のせん断に対しても配向状態が維持され,粘度の異方性も発現した.これより,塗布などのせん断により粒子配向を安定して形成するには適切な濃度が重要であることがわかった.液晶性色素の水溶液においてネマチック相のドメインの状態を変更光学顕微鏡により確認した.せん断によるドメインの状態を可視化したが,ドメイン融合についての明確な条件などは見いだすことができなかった.次に,次年度以降に塗布による配向膜形成の観察,測定を行うための新たなプラットフォームとなる塗布可視化装置の設計・製作を行った.この装置は所定の塗布速度と不可能と同時に二次元的な膜の状態を走査できるよう二軸位置制御可能なものとした.また,この装置で使用するための金属製のアプリケータおよび可視化に用いるガラス製アプリケータも設計,製作を行った.製作した装置について三次元精密形状測定装置により所定の形状であることおよび形状の精度などを評価した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異方性形状を有する懸濁液における流動配向の発生と粘度異方性の関係については予定通りの成果が得られ,当初に予想したとおり粘度異方性の発現は粒子配向に依存することが明確になった.また,平成29年度以降に使用する塗布可視化装置について設計,製作が予定通り実施され,これに使用するアプリケータも金属製およびガラス製が1個ずつ完成した.しかし,せん断流動による液晶性色素のドメイン融合によるモノドメイン化については実験を行っているが,適切なせん断速度,せん断ひずみなどの条件が確定せず,追加実験が必要である.しかし,概ね予定通り実験が振興している.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画どおりにほぼ進行しているのでこれに合わせて実験を進める.アプリケータの形状について適切なサイズを検討し,各種形状を有するものを設計,製作し,塗布による配向特性を比較する.また,塗布・乾燥過程の配向状態を高速度マイクロスコープにより観察し,粒子配向状態を定量的に整理するための基礎データを取得する.また,昨年度より英国ケンブリッジ大学のAlex Routh博士と塗布後の薄膜の乾燥過程についての意見交換を行っており,平成30年度に予定している乾燥過程の配向状態の解明に関して新たな実験方法の検討などを行っている.
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