2016 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロ・ナノ熱工学によるがんの早期診断と低侵襲治療
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16H04273
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
圓山 重直 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (80173962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山家 智之 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (70241578)
小玉 哲也 東北大学, 医工学研究科, 教授 (40271986)
小宮 敦樹 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (60371142)
櫻井 篤 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20529614)
藤村 卓 東北大学, 医学系研究科, 助教 (50396496)
岡島 淳之介 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (70610161)
岡部 孝裕 弘前大学, 理工学研究科, 助教 (70772713)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生体熱工学 / 低侵襲治療 / レーザー治療 / 温度計測 / 生体内ナノふく射 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、申請者らの熱工学の医療応用研究を飛躍的に発展させ、生体内のミクロ・ナノスケール熱工学とその医療応用を目指した研究を推進することを目的としている。平成28年度は、ミクロな生態構造に起因する熱輸送現象に着目し、これらを能動的に制御する超高精度ミクロ温熱プローブを開発と、ふく射エネルギー注入によるハイパーサーミアのな治療法の創出に着手した。 超高精度ミクロ温熱プローブは、表面温度を高精度に計測することを目的として考案された保護熱源式のサーミスタプローブで構成した。このプローブはサーミスタを2個用い、1つは表面温度のセンシングおよびパルス加熱源として、もう1つはセンシング用サーミスタからの熱損失をキャンセルするための熱源として利用した。また、研究室所有の標準温度計を用いて校正することにより、温度の確度を5mKまで高めた。また数値シミュレーションにより、ミクロ温熱プローブの熱伝導率計測から皮膚がんの体積が推定可能であることを示した。完成したミクロ温熱プローブを臨床試験で利用するために、臨床試験のプロトコルの作成を行った。作成したプロトコルで現在、臨床試験を進めている段階である。 ふく射エネルギーを利用したレーザーハイパーサーミアでは、数値シミュレーションモデルの高度化を行った。ナノ粒子のプラズモン共鳴による特異的な発熱現象を、ふく射の吸収係数の分布としてモデル化してとして扱うことにより、ナノ粒子の特異的な光吸収現象が生体内温度分布に与える影響を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ミクロ温熱プローブを用いた皮膚がんの熱物性診断では、当初の予定以上に順調に進展し、臨床試験を開始することができたため。レーザーハイパーサーミアについては、計画通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に開発したミクロ温熱プローブを用いて皮膚やその病態における熱物性の測定により、皮膚がん熱物性診断を行う。臨床試験を通じて、実際の皮膚がんの熱物性を多数計測し、皮膚がんの状態と熱物性の関係を明らかにする。 また、光エネルギー伝播と表層冷却機構によって最適化したレーザー加熱装置を製作する。加熱光源には購入した、半導体レーザーと光ファイバー光学系を使用し、体表面冷却装置を組み合わせる。さらに皮膚がん細胞のミクロな光学物性を測定し、前年度で確立した生体ふく射エネルギー解析を用いて、表皮を温存しメラニンのみを焼灼する低侵襲レーザー治療における最適波長並びに最適強度・照射時間の検討を行う。
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Research Products
(5 results)