2017 Fiscal Year Annual Research Report
Control of thermal transport by advanced spectral phonon engineering
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16H04274
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塩見 淳一郎 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (40451786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志賀 拓麿 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (10730088)
内田 健一 国立研究開発法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他研究員 (50633541)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 熱工学 / フォノンエンジニアリング / 熱輸送制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
フォノンの熱伝導スペクトルを利用した熱制御を進めた。時間領域サーモリフレクタンス法でフォノンの平均自由行程と同等またはそれより小さいスケールで加熱・測温領域のサイズを変化させて熱伝導率のサイズ効果の計測する手法を進めるとともに、ナノ多結晶材料の平均粒径を変化させることでサイズ効果を誘起して熱伝導のスペクトル物性を評価した。また、理論やマルチスケールフォノン輸送シミュレーションを行い、熱伝導スペクトルの制御性の範囲を拡大した。まず、粒径が極端に小さい場合の界面フォノン散乱の理解を目的に、粒径が3nmのシリコン多結晶体の熱伝導およびその温度依存性の計測を行った結果、50-300Kの広い範囲でシリコンアモルファスの熱伝導率よりも優位に小さいことがわかった。そこで、原子グリーン関数法によって界面のフォノン透過スペクトルを計算し、それを入力としたナノ多結晶体の熱伝導率を計算することで、周波数の低い(熱伝導率への寄与が大きい)音響フォノンの平均自由行程が波長の半分よりも短くなっており、究極的なフォノン輸送の抑制が実現できていることを明らかにした。さらに、熱伝導スペクトルの制御性の向上を念頭に、フォノンの波動性を利用した共鳴現象を誘起する構造について検討を行った。シリコンに直径が数nmのゲルマニウムナノ粒子を埋め込んだ構造に対してフォノン透過計算を行った結果、これまでのナノ構造では制御が困難であった1テラヘルツ近傍の周波数を有する音響フォノンの伝播を効率的に阻害することができることがわかった。加えて、同様の波動性を活かしたコンセプトで超格子構造の最適設計なども行った。以上の知見を活かして、電気伝導とゼーベック係数をできるだけ維持しながらフォノン輸送を低減させる熱電材料として、ナノ粒界,ナノドット,ナノ空孔、金属ナノ粒子などを統合したナノシリコン複合材を作製し、その熱電性能を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フォノンの粒子性と波動性を考慮した計算や、ナノ構造の熱伝導率の温度依存性の測定の技術を確立し、シリコンを基盤としたいくつかの具体的な材料の設計や評価が進み、スペクトル物性を活かした制御を示すことができており、研究はおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
ゼーベック効果とフォノン輸送抑制を両立するスペクトル制御: 熱電変換素子の普及に向けて必要となる飛躍的な性能向上には、電気伝導率と独立に熱伝導率を低減することに加えて、起電力(ゼーベック係数)自体を増大させるシナリオが必要である。本研究では、フォノンドラッグ効果や界面構造のゼーベック効果などの従来型ではない効果に着目してゼーベック係数を向上することを目指す。フォノンドラッグに関しては、フォノンドラッグに寄与するフォノンと熱伝導率に寄与するフォノンでは波数・周波数・分岐が異なることを利用して、フォノンドラッグによる起電力を低減せずに熱伝導率を低減するナノ構造を設計して実現する。一方、界面ゼーベックに関しては、ナノ構造化バルク材料においては実際の温度差の殆どは界面熱抵抗で生じていることを考慮し、界面原子構造の制御を通じてフォノン輸送と起電力の独立制御を目指す。そのために、界面での構造の観察と熱伝導の計測が厳密にできるモデル系を構築し、界面での原子構造とゼーベック係数との因果関係を実験と計算の両方から評価・解析する。さらに、得られる結果や知見を実際の材料系へ適用する。
熱伝導率低減とパワーファクター増大を両立する薄膜熱電変換材料の開発: それまでの研究で明らかにした各種の効果を合わせて、熱伝導率低減とパワーファクター増大を両立する薄膜熱電変換材料を作製し、総合的な性能を評価する。将来的な汎用性を念頭に、特にシリコンを基盤とした環境親和型および低コスト材料に注力して開発を進める。なお、熱伝導率低減することは、変換効率が向上するだけでなく、一定の温度差を印加するために必要な材料量を低減できることを意味し、これによってコストが低減するだけでなく、材料の薄膜化が可能になりボトムアップモジュール化の自由度が向上する。最終的にはモジュールを試作してトータルの変換性能を評価するところまでを目指す。
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Research Products
(16 results)