2017 Fiscal Year Annual Research Report
Laser flash Raman spectroscopy method and heat transfer performance of novel low-dimensional materials
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16H04280
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
張 興 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 主任研究者 (40236823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 厚史 九州大学, 工学研究院, 教授 (10243924)
Wang Haidong 九州大学, 工学研究院, 助教 (30729405)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | a |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノ材料の熱物性を計測する際に問題となっている、接触型計測におけるセンサーと試料の間の接触熱抵抗および非接触型計測におけるレーザー吸収率が不明である問題を解決するために、非接触型計測の一つであるラマン分光法を応用してレーザー吸収率が不明なままでも正確なデータが得られる「レーザーフラッシュラマン分光法」の開発を目指した。今年度は、現有の顕微ラマン分光装置のレーザーおよび試料部の改造を完了し、実際にグラフェンやカーボンファイバーなどの計測を実施した。グラフェンに関しては、トレンチ溝を設けた基板にグラフェンを転写することで、溝の上で懸架状態になったグラフェンへ繰り返しレーザーパルス加熱を行って、そこから得られるラマンピークのシフトから温度を推定する。パルスを変化させることで懸架したCVDグラフェンおよび機械的に剥離したグラフェンの熱伝導率を計測することに成功した。得られたデータは既報のものとよく一致しており手法の妥当性を確認できた。本手法では、懸架状態の2次元試料の周期加熱による熱伝導を解析的に計算して、ラマン信号から推定できる中心部の温度上昇と比較することで、熱伝導率以外にも試料の比熱を得ることができる。上記実験のデータを解析することで、グラフェンの比熱を世界で初めて得ることができたと言える。また、交差する2本のカーボンファイバーについてもラマン分光計測を行って、その熱伝導率および交差部の接触熱抵抗の同定にも成功した。ナノ空間の気液界面についても透過電子顕微鏡と原子間力顕微鏡を用いて観測しその物理機構を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在までに、カーボンファイバー、多層カーボンナノチューブ、単層・数層グラフェンのレーザーフラッシュラマン分光法による熱物性計測に成功した。ナノ空間での気液界面観察でも多くの成果が得られている。これらは計画以上の進展度であり、研究目的の主たる部分がすでに達成されたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ナノ空間に束縛された液体に関してその熱流体的性質を調べることに注力していくが、当初計画以外の新規ナノ材料の熱物性計測についても検討する。
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Research Products
(16 results)