2016 Fiscal Year Annual Research Report
複雑系数理の基礎理論を用いた燃焼振動の非線形ダイナミックスの解明とその新展開
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16H04284
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
後藤田 浩 東京理科大学, 工学部機械工学科, 准教授 (00434712)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 燃焼振動 / 吹き消え / 力学系理論 / 複雑ネットワーク / 記号力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
燃焼振動の非線形ダイナミックスの解明とそれに基づく燃焼制御技術の体系化は重要な研究課題である. 本研究では, これまでの燃焼工学分野では取り入れられていない力学系理論, 記号力学, 複雑ネットワークなどの複雑系数理の基礎理論と燃焼学を融合させた新しい視点から, 燃焼振動の非線形ダイナミックスの性質を解明し, 工学的に応用することを目的としている. 今年度, 以下の点を明らかにした. (1) モデル燃焼器内で, 旋回バーナー中心軸上の渦崩壊, ダンプ領域の循環流, スワーラ後流の循環流が形成される. (2) 記号力学に基づく順列エントロピーと複雑ネットワークに基づくネットワークエントロピーの空間分布から,ダンプ領域の循環流と渦崩壊におけるせん断層領域,火炎基部における速度変動の乱雑さは, 循環流内部よりも低くなる. (3) マルチスケール性を考慮に入れた複雑さ(乱雑さと非平衡さの両方を考慮)の定量化と(2)に基づくと, せん断層領域と火炎基部における速度変動のダイナミックスが, 燃焼振動の周期性に重要な役割を演じる. (4) 複雑ネットワークに基づく水平/垂直可視グラフのネットワーク特性量は, 吹き消えの事前検知を可能にする. (5) 吹き消えの圧力変動から構築されるリカレンスネットワーク構造には, マルチフラクタルに関連したスケールフリー性は存在しないが, スモールワールド性は存在する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
導入したレーザー計測システムにより, 研究実績(1)-(3)を得た. これらの研究業績は, 次年度に予定している燃焼振動の速度場と非線形特性量の関連づけに深く関わるものであり, 次年度の研究計画の一部を実施することができた. これらの研究成果を2017年4月に国際会議で報告し, 現在, 学術誌へ投稿する準備を進めている. しかしながら, 取得された実験データは, 十分発達した燃焼振動のみであり, 申請書に記載している燃焼騒音からリミットサイクル振動への増幅過程とリミットサイクル振動の減衰過程については, 十分な検討が加えられていない. 以上から, 進捗状況の区分を(2)とした.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況で示されるように, 次年度の研究計画の一部を実施した. 本年度に予定していた燃焼騒音からリミットサイクル振動への増幅過程とリミットサイクル振動の減衰過程についても, 十分発達した燃焼振動の場合, 検討していく必要がある.
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] 熱工学系の非線形力学2016
Author(s)
後藤田 浩
Organizer
慶應義塾大学大学院 環境エネルギー科学特論第1
Place of Presentation
神奈川
Year and Date
2016-05-20 – 2016-05-20
Invited
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