2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H04295
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
只野 耕太郎 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (90523663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川嶋 健嗣 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (40300553)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生体凝固止血 / 水蒸気 / エネルギーデバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,水蒸気噴流を用いた加熱によって生体組織の凝固止血を行う方法を提案し,高効率かつ安全な新原理の外科手術用エネルギーデバイスを開発する.水蒸気を利用することで,電気メスに代表される従来の外科手術用エネルギーデバイスで問題となっている過加熱による組織の炭化を原理的に起こさない生体凝固の実現を目的としている. 本年度は,提案する水蒸気止血の原理,有効性の検証および定量的評価を行うため,先行予備試作を基として新たな装置の製作を行った.本装置は水蒸気生成制御部とノズル部から構成され,水蒸気生成制御部において電熱ヒータや圧力センサなどを用いて吐出する水蒸気の圧力を制御し,電磁弁を介してノズル部から水蒸気を生体組織に噴霧する.本装置では,先行試作で課題となっていたドレンを分離除去するための機構を水蒸気生成制御部およびノズル部において実装した. 試作した装置の加熱能力や伝熱現象を定量的に評価するため,温度センサとして複数のサーミスタを規則的に埋め込んだシリコンゴムを模擬臓器として製作した.これに対して,様々なノズル形状や異なる圧力の条件において水蒸気を噴霧し,サーミスタにより得られる内部の温度分布から熱伝導の挙動を計測した.この結果から理論的考察と併せて水蒸気圧力,ノズル径,対象との距離などのパラメータと加熱能力との関係性を明らかにした. また,ブタを用いた動物実験により本装置の評価を行った.ブタ生体の肝臓の裂傷に対して水蒸気噴流を噴霧したところ,広範囲を素早く凝固止血できることを確認した.さらに,水蒸気によって凝固変性した部位の病理観察を行い,炭化せずに凝固が行えていることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り水蒸気凝固装置の試作を行い,生体に対する止血効果を確認することができた.一方で,ドレン抑制除去がまだ十分でないことや水蒸気が拡散してしまうという問題に対する対応が必要となった.
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Strategy for Future Research Activity |
実験において,ノズル先端からの水蒸気拡散によって周辺部位へ不要な熱傷を起こしてしまう問題が確認された.また,腹腔鏡下での利用においても上記拡散によってカメラレンズの曇りが問題となった.今後は,この対策として装置に吸引機能を追加実装し,水蒸気拡散の抑制や噴霧領域の制御を行う.
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