2017 Fiscal Year Annual Research Report
受動的力学機序を規範としたミニマル2脚歩行・走行機構の開発
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16H04302
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐野 明人 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80196295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池俣 吉人 帝京大学, 理工学部, 講師 (70467356)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ロボティクス / 受動的力学機序 / 歩行・走行 / データ駆動 |
Outline of Annual Research Achievements |
受動的な力学機序(力学メカニズム)を規範とすることは普遍性があり,これを持続的に発展させる意義がある.本研究では,ミニマルな2脚歩行・走行機構を開発し,実機実験によりその有用性を示した.簡単な介入操作以外は全て受動的な振る舞いであり,受動的力学機序を規範としている. 歩行に関しては,実験者の姿勢アシストのない3次元平地歩行を実現した.速度は3.5[km/h]で49歩の連続歩行にも成功した.ヒトが歩くと4.0[km/h]前後が最も歩き易く,ピッチはあまり変化せず脚の伸展角度(歩幅)が歩行速度に伴い増大していく.そこで,ピッチを一定にしてレバー操作のストローク,すなわち股関節の伸展角度を増大させた.なお,脚の振り出しと連動して骨盤が回旋することで70[cm]程度の大きなストライドを生んでいる.これは歩容がよりヒトに近づく結果となっている.従来は,上体に見立てた剛体支柱におもりを付けることはあったが,本機構では脊椎のしなやかさと揺動慣性体の慣性効果が実験者の姿勢アシストを不要にしたと考えている. 走行に関しても,姿勢アシストのない平地走行を実現した.速度は12.0[km/h],平均ピッチは4.12であり,連続50歩程度の安定走行を達成した.なお,現時点では完全に上体の後傾を防げておらず,紐を介して前方から水おもり(0.5~1.0[kg]程度)での抑制を掛けている.当初は,脚の運動を腕の操作で行うのは直感的でなく良くないと思われたが,ヒトはかかと着地でブレーキが掛かるような脚運動になりがちなので,むしろ腕によって脚をしっかりスウィングさせる方が理に適っていた.また,レバー操作というと自在に走行機を動かせるイメージを抱くかもしれないが,実際は走行機の動きに操作者が引き込まれてしまう感じになる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3次元平地歩行および2次元平地走行において,頭部,脊椎,腕部,骨盤,脚部,足部を有する等身大の人型2脚歩行・走行機に,弾性体およびバネ付ワイヤ拘束を導入し,さらに手動ワイヤ駆動を行うことで,受動的なアシスト下ではあるが,かなりヒトに近い歩行・走行を実現したことで,当初目的はほぼ達成された.歩行では,ピッチを一定にしてレバー操作のストローク,すなわち股関節の伸展角度を増大させる無理のない操作で,よりヒトに近い歩容を実現した.走行では,レバー操作により自在に走行機を動かせるわけではなく,実際は走行機の動きに操作者が引き込まれてしまうことを確認し,受動的な力学機序(力学メカニズム)を規範としていることが裏付けされた.以上のことから,おおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,安定性を含めた運動性能をさらに高めて完全自立を目指す.ヒトによる手動ワイヤ操作の主な特徴は抽出できているので,予備実験を踏まえてアクチュエータ制御の制御性能をヒトと同等以上に高めていく.なお,洗練された手動操作を深層強化学習の枠組みで実装する.また同時に,体幹の強化は不可欠であり,平行して行っていく.一方,統合実験環境での実験データの蓄積は継続し,安定化制御,動作推定と転倒予測,異常検知による破損予測などの領域で,データ駆動型アプローチを活かして行く.さらに,ミニマルな支援手法に関して具体的に進める.
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Research Products
(14 results)