2016 Fiscal Year Annual Research Report
機械刺激を用いて人の動作補正を行う認知アシストに関する研究
Project/Area Number |
16H04305
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木口 量夫 九州大学, 工学研究院, 教授 (90269548)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒田 純平 九州大学, 工学研究院, 准教授 (40377586)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 認知アシスト / 振動刺激 / 動作補正 |
Outline of Annual Research Achievements |
動作支援を必要とする高齢者等の筋力弱者は,運動能力のみならず環境認知能力も衰えている場合が多い.本研究は,振動子を用いて機械的振動刺激を人体(筋肉)に与えることで発生する運動錯覚(位置感覚の誤認識)を利用することにより,環境認知機能の衰えた人等の動作を自動的に補正し,事故を未然に防ぐ認知アシストを実現させることを目指すものである.本研究の主な内容は,①機械的振動刺激を加えることによる人の動作の変化に関する研究,②外部から力を加えることなく,人の動作を直接かつ自然に思い通りの動作に調整する手法に関する研究,③事故を未然に防ぐために動作を自動的に安全な動作に補正する手法に関する研究の3点である.これらの研究により本人の筋力により動作を自動的に補正することにより事故を回避する認知アシストを実現させる. 平成28年度では,人の上肢肘関節および下肢膝関節の主要筋肉に振動子を当て,連続的な関節運動を行いながら機械的振動刺激を与える実験を行い,どの筋肉にどの様にどの程度の振動刺激を加えると,どの程度の動作変化が生じるのかを明らかにした.その結果,機械的振動刺激を与えることで,連続的な動作においても動作変化が生じることが分かり,しかも動作変化に即応性があることが分かった.また,機械的振動刺激の刺激間隔を調整することにより動作変化率を変化させることに成功した.さらに,上肢肘関節に負荷を加えた状態で同様の実験を行い,負荷の大きさに応じて動作変化率が変化する傾向を見つけた. 一方で,認知アシストに用いるため,環境と身体動作の相互作用を基に転倒事故の可能性を判断するロボット知能の開発を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は,人の上肢,下肢,および体幹の主要関節筋に振動子をつけ,上肢あるいは下肢の運動を行いながら機械的振動刺激を与える実験を行い,どの筋肉にどの程度の周波数の刺激を加えるとどの程度の運動錯覚(位置感覚の誤認識)が生じ,どの程度の動作変化が生じるのかを明らかにすることを予定していた.それに対し,人の上肢肘関節および下肢膝関節の主要筋肉に振動子を当て,連続的な関節運動を行いながら機械的振動刺激を与える実験を行い,どの筋肉にどの様にどの程度の振動刺激を加えると,どの程度の動作変化が生じるのかを明らかにした.その結果,機械的振動刺激を与えることで連続的な動作においても動作変化が生じることを明らかにし,しかも動作変化に即応性があることも明らかにできた.また,機械的振動刺激の刺激間隔を調整することにより動作変化率を変化させることに成功した.さらに,上肢肘関節に負荷を加えた状態で同様の実験を行い,負荷の大きさに応じて動作変化率が変化する傾向を見つけた. 一方で,認知アシストに用いるため,環境と身体動作の相互作用を基に転倒事故の可能性を判断するロボット知能の開発を行った. 上述の通り,当初予定していたよりも多くの研究成果が得られており,国際会議等において研究成果を発表しているため,当初の計画以上に進展していると判断した.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き,様々な状況下において,上肢,下肢,および体幹の主要関節筋に機械的振動刺激を与えることで生じる動作変化を明らかにする.また,これまでに明らかになった動作変更特性を基に上肢,下肢,および体幹の主要関節動作を思い通りに補正する手法を提案する.また,今後は,動作補正を行うための機械的振動刺激を生成するのに適した振動子を開発し,動作変更の効率アップを目指すものとする. 一方で,認知アシストに用いるため,環境と身体動作の相互作用を基に様々な事故につながる可能性を判断するロボット知能の研究開発を更に進め,事故を未然に防ぐことを目指すものとする.
|
Research Products
(6 results)