2016 Fiscal Year Annual Research Report
Intelligent chemical actuators and scientific principle of chemical mechanics
Project/Area Number |
16H04306
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
前田 真吾 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (40424808)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ゲル / ゲルアクチュエータ / ソフトアクチュエータ / ケミカルロボット |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまで,振動反応の化学エネルギーのみで自律的な拍動や蠕動運動する自律駆動ゲルの基礎物性とその応用デバイスに関する研究を行ってきた.本研究では,これまであまり実現されてこなかった,物理的な力学刺激による振動制御の可能性について検討,調査を行った.このゲルは刺激応答性高分子ゲルと周期的な化学振動(Belousov-Zhabotinsky(BZ) 反応)をカップリングさせることで自律的な体積振動を生じさせることができる.反応過程では金属錯体イオンの濃度が周期的変化(酸化還元振動)を生成することが知られている.この酸化還元変化に伴って高分子鎖の溶解性が変化し,ゲルの体積が膨潤・収縮運動する.この自律駆動ゲルは,化学エネルギーを直接力学エネルギーに変換するため,回路やバッテリーが不要であり,小型化が容易等のメリットが挙げられる.このような自律駆動システムを応用することで,革新的な電源フリーのデバイスを実現できる可能性がある.申請者は化学マイクロポンプや自律歩行ゲルを実現してきた.しかし,ゲルの振動を力学的な刺激によって制御されていない(開始―停止の制御).応用の観点から,温度刺激や濃度変化による振動制御ではなく,物理的な力学刺激のみで振動制御を試みた.そこで本実験では,ひずみの付加によって反応制御(開始―停止の制御)を行った.結果として,BZ反応の開始はゲルに歪を加える(引張)ことで実現することに成功した.しかしながら,ゲルの体積振動の観察には至っていないので,次の課題としたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BZ反応の数理モデルから,振動が誘起される濃度を特定し振動の限界領域を探索した.また,BZ反応の濃度組成を探索するだけでなく,自律駆動ゲルの組成についても再検討した.その結果,歪を加えることでBZ反応が生成する濃度を見出し,化学波がゲル中を伝播することを見出した.つまり,力学刺激によって化学反応の開始に成功した.
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Strategy for Future Research Activity |
力学刺激によって化学波の生成に成功しているが,酸化還元電位が非常に小さくゲルの力学振動をい捉えるには至っていない.この点が次の研究課題だと考えている.現在,さらなるゲルの組成とBZ反応の濃度領域を探索することで,力学振動を捉えたいと考えている.
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