2016 Fiscal Year Annual Research Report
クローポール型半波整流可変界磁モータの高トルク・高出力・高効率化
Project/Area Number |
16H04319
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
阿部 貴志 長崎大学, 工学研究科, 教授 (30222649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 剛 長崎大学, 工学研究科, 教授 (50156577)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 可変界磁モータ / 半波整流可変界磁 / ダイオード整流方式 / クローポール回転子 / 最大トルク制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
H25~H27の基盤研究(C)にて代表者が基礎性能を実証したクローポール型半波整流可変界磁モータに対して,構造面と制御面の双方から検討し,高トルク,高出力,高効率化を目的として,本年度は以下の研究成果を得た。 1.クローポール型半波整流可変界磁モータの再試作: 平均トルクの向上,トルク脈動の軽減を目標として,固定子鉄心形状,極数,スロット数,巻線方法などのモータ定数についてFEMにより検討した。特に,dq軸インダクタンス比を順突極とすることで平均トルクを向上し,d軸インダクタンスの増加と界磁巻線との結合係数を増加させ,トルク脈動の軽減を実現した。さらに,固定子巻線と回転子巻線の巻線数比を検討することで,半波整流可変界磁法にて回転子巻線に誘導される界磁磁束の最大値を拡大し,可変界磁特性の制御範囲を広げた。この結果を用いて新型モータを試作した。 2.特性評価連成シミュレーションによる検証: FEMによるモータの基本特性の検討だけでなく,本モータの特殊な半波整流可変界磁法を評価するために,H25~H27の基盤研究(C)において検討した特性評価連成シミュレーションを利用して,上記の設計結果を回路シミュレータに取り込み,インバータモデルと半波整流可変界磁プログラムを利用して,半波整流可変界磁法を考慮した基本特性評価を実施し,上記設計と連携して最適な設計モデルを導いた。 3.半波整流可変界磁法による最大トルク制御法の検証: 半波整流可変界磁法に利用されている,d軸励磁電流成分の三角波の実効値を変化することで,回転子に自励される界磁磁束をゼロから最大値まで可変可能であるが,この実効値を速度と負荷トルクに応じて可変させる最大トルク制御法の検討を実施した。旧モータを利用した検証ではあるが,励磁電流実効値による特性実験結果より,電機子電流を最小にする,もしくは効率を最大にする制御法を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.クローポール型半波整流可変界磁モータの再試作: 平均トルクの向上,トルク脈動の軽減可能とする新型モータを試作した。各設計パラメータはFEMによる繰り返し演算より得ており,基本特性の検討も実施した。 2.特性評価連成シミュレーションによる検証: 回路シミュレータを用いて,インバータモデルと半波整流可変界磁プログラムを利用した基本特性評価を実施し,上記(1)の設計と連携して最適な設計モデルを導いた。 3.半波整流可変界磁法による最大トルク制御法の検証: 従来の予定では,試作機を用いての検証予定であったが,上記(1)と(2)に時間を必要とし,最終的なモータ完成が遅れ,さらに,負荷装置の調整にも時間を要した。その結果,本計画の最大トルク制御法の確立が遅れ,旧モータを利用した検証となった。しかしながら,励磁電流実効値による特性実験結果より,電機子電流を最小にする,もしくは効率を最大にする制御法を検証しており,全体計画に問題は無い。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね順調に進展しており,当初からの計画である1.~4.を実施する。 1.付加トルクによるトルク向上: 半波整流可変界磁法によるトルクだけではなく,固定子巻線やスロット形状による空間高調波を利用した空間高調波トルク,さらにはdq軸インダクタンス比を利用したリラクタンストルクの併用を検討する。 2.半波整流可変界磁モータの高出力化: 半波整流可変界磁法による,負荷の変化に応じた高速度領域における定出力領域の拡大制御法を確立し,さらなるモータ定数の検討により,定出力範囲1:4までの拡大を目指す。 3.半波整流可変界磁モータの高効率化: 回転子は鉄塊を利用しており,特に高速度領域においての渦電流損が問題となる。この解決策として,バイアス周波数や変調波形の再検討を実施する。 4.自動車用途に特化したモータ設計,制御法検討と燃費シミュレーション: 自動車用途においては,低速・高トルク域,低~中トルク域,高速・低トルク域での特性改善が必要となる。この領域に適用して特性の最適化を実施する。
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