2016 Fiscal Year Annual Research Report
電界によるスピンダイナミクス制御と電界アシストスピン流磁化反転の開発
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16H04328
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 剛志 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (50303665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 聡 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (60151742)
大島 大輝 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 助教 (60736528)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 電子・電気材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は遷移金属/貴金属積層膜であるCo/Pt膜と希土類-遷移金属合金であるGdFeCo膜において,TaやPtといった重金属におけるスピンホール効果により生じる純スピン流による磁化反転の膜構成依存性を調べるとともに,スピン流により磁化にはたらく2つのトルク(Damping like torqueとField like torque)について詳細に調べた.本年度はGdFeCo膜において系統的な検討を行い,スピンホール磁化反転の臨界電流密度のGd組成依存性,Damping like torque,Field like torqueのGd組成依存性を調べた.磁化反転の臨界電流密度はほぼ無磁場においては組成に依存せず,10 MA/cm2程度の値となった.なお,GdFeCoの膜厚が5 nmであることを考慮すると,この値はこれまで報告のある電流密度に比べ1桁程度小さな値となっている.すなわち,GdFeCoを用いることで,非常に高効率な磁化反転が可能であるという結果を得た.次にDamping like torqueもGd組成に大きく依存せず,ほぼ一定となった.これは磁化反転の臨界電流密度がGd組成に依存しないことと対応している.一方,Field like torqueは補償組成に近いGd24 at.%付近で極小となった.この理由については十分わかっておらず,更なる膜構成依存性の検討が必要であることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度中に電界アシストスピンホール磁化反転に必要となる絶縁層,電界印加電極を含んだ素子を作成する予定であったが,購入予定のスパッタリングカソードと同様のもので絶縁層成膜のテストを行った結果,絶縁性能が不十分であることが分かり,カソードと成膜する基板の位置関係を変更するという改造が必要であることがわかった.この設計変更に伴い,スパッタリングかソードの仕様変更が必要となり,納入が数ヶ月遅れるということになった.このため全体の実験の進捗に4ヶ月程度の遅延が生じた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度にメモリ層として検討した,遷移金属/貴金属積層膜であるCo/Pt膜および希土類-遷移金属合金であるGdFeCo膜上部に絶縁層と電界印加電極を作成し,電界アシスト磁化反転の基礎実験を可能とする素子を試作する.次に,電界を印加したもとで,スピンホール磁化反転を調べ,スピンホール磁化反転における電界印加効果を調べる.また,Co/Pt,Co/Pd積層膜およびGdFeCo膜において時間分解磁気光学Kerr効果(TRMOKE)測定を行い,これらの素子のスピンダイナミクスを調べる.さらに素子に電流,電圧を印加しながらTRMOKE測定を行い,これら電流,電界によるスピンダイナミクスの変化を調べ,高効率な磁化反転に必要な条件を調べる.
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Research Products
(14 results)