2017 Fiscal Year Annual Research Report
人工ニューロン開発を目指したその場TEM法による抵抗変化メモリ回路動作の研究
Project/Area Number |
16H04339
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
有田 正志 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (20222755)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 庸夫 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (90374610)
福地 厚 北海道大学, 情報科学研究科, 助教 (00748890)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 抵抗変化メモリ / 電子顕微鏡 / 電子・電気材料 / 電子デバイス・機器 / ナノ材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度には,主には2層CBRAM(導電フィラメント型ReRAM)のフィラメント動作について調べるとともに,TEM内CBRAM回路研究を念頭においた,ナノ電極間に形成した平面型Cu/WOx/Cu,Ag/WOx/Ptデバイスのスイッチ動作を調査した.これらの結果を国内外の学会で発表した.これに加えて,TEMその場観察研究に関する招待レビュー講演をNVMTS,応用物理学会講演会において行った.また,H30年度の研究進展を念頭において,ナノ伝道経路解析のための簡易型TEM-EBACシステム開発に着手した.
① 二層型ReRAM(Cu/MoOx/Al2O3)の評価:二層型デバイスの安定動作の原因を探るために積層型CBRAMの観察を行った.相補性CBRAM動作の解明には至らなかったが,メモリ書き込み時の導電フィラメント形成においてCuが一旦MoOx/Al2O3界面で析出し,その後Al2O3にフィラメントが形成されるということがわかった.この2段階過程によりデバイスへの急激な電力投入を抑えられ,安定動作に繋がることが解った.② 平面型ReRAM:抵抗変化においてTEM像で認識可能な構造変化と,認識困難なスイッチのあることわかった.スイッチに関わる電気抵抗変化には大幅な構造変化が必要ではなく,また観察可能なフィラメントの形成には電流が寄与すると考えられる.メモリ消去に関連するフィラメント破断に際しては,抵抗値が不安定になることが観測された.③ これらの結果を踏まえると,ナノメートルまたはそれ以下の変化が,メモリ現象に寄与すると考えられる.ReRAMスイッチ動作における電流経路変化を認識するための手法として電流像観察に注目し,TEM用の簡易型EBACシステムの開発に着手した.まだ数千倍程度の観察ではあるが,電流経路観察について一定の目処を得た.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2層型CBRAMにおける安定動作の理由(2段階スイッチ)を明確化できた.また平面型CBRAMにおいては,斜め蒸着法によるナノ電極形成が可能になり,デバイス動作と微細構造の詳細な関連付けが可能になった.回路動作観察に向けての,TEM内回路の設計・リソグラフィパターン作製は終了しており,H30年度には実験の実施が可能である.数件の招待講演を行っており,当該研究についての認知を得た.いずれも予定通りの進捗状況である.
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通りに推進する.①2層型CBRAM:FIB試料を用いて劣化機構について詳細な検討を行い,2層型ReRAMの特長を詳細に解明する.②平面型CBRAM:抵抗スイッチ直前・直後の電極近傍,フィラメント近傍のCuの振る舞いを検討し,多値・アナログメモリ特性と微細構造との関連性を明らかにする.③回路:平面型CBRAMを用いたネットワーク回路を作製して電気特性,フィラメント動作の相関を調査.④メモリスイッチに伴う電流経路の変化を検知するための簡易型EBACシステムを完成し,これを応用したReRAM研究を進める.⑤最終年度にあたり,研究成果を国内外の学会・国際会議で発表し,執筆論文としてまとめる.これらを通じて,研究成果を社会に還元する.
|
Research Products
(39 results)