2017 Fiscal Year Annual Research Report
メタ表面実装光ファイバが切り拓く測定場所を選ばない革新的超精密ナノセンシング
Project/Area Number |
16H04342
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金森 義明 東北大学, 工学研究科, 准教授 (10333858)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 光デバイス / マイクロ・ナノデバイス / メタマテリアル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、光ファイバ先端にメタ表面を実装したフィジカル・ケミカルセンサを開発し、測定場所を選ばず局所領域の超高感度測定を可能とする革新的超精密ナノセンシングの実現を目的とする。本年度は、偏光無依存メタマテリアルを用いた屈折率センサを石英基板上に製作し、その特性を評価した。メタマテリアルの単位構造は基板上に2次元周期配列される。メタマテリアルの形状は偏光無依存にするために回転対称形状とし、材料には近赤外域で反射率が高いAuを選定した。屈折率を測定したい試料をメタマテリアル上に滴下し、メタマテリアルの反射スペクトルを分光器で検出する。空気 (屈折率n = 1.0) を基準として、試料滴下による屈折率変化に応じた反射スペクトルシフトから屈折率を算出する。Rigorous Coupled-Wave Analysis法を用いたメタマテリアルの光学設計を行った。設計では593 nm/ refractive index unit (RIU)の屈折率感度を得ることができた。メタマテリアルは、Electron beam (EB) リソグラフィ、EB蒸着、リフトオフによって石英基板上に製作した。実際に製作したデバイスの測定結果からは 585 nm/RIUと高感度な特性を得た。実際のメタマテリアルの寸法に基づいた屈折率感度の計算値は605 nm/RIUであり、実測値と近い値を得た。次に、光ファイバ端面に、石英基板上に製作したメタマテリアルと同じ設計寸法のメタマテリアルを製作した。石英基板上に製作したメタマテリアルと比べ製作精度が若干悪くなった。そのため、屈折率測定の信号レベルが低下したが、メタマテリアル周辺の屈折率の変化を読み取ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
構築した光ファイバ端面専用ナノインプリント装置を用いて光ファイバ端面にメタマテリアルを製作する工程において、ファイバカッタで切断した光ファイバ端面が大きく波打っていることが確認された。この波打ちが原因で圧力が一定にかからず、樹脂残膜厚が不均一となってしまうため、最適なイオンミリング時間の条件が面内で変動してしまい、メタマテリアルを均一に製作することはできないという問題が生じた。そこで金属の成膜前に紫外線(UV)硬化樹脂によって光ファイバ端面を平坦化して製作を進める方法を検討した。平坦化による、光ファイバの垂直アライメント時に発生する干渉縞の模様を光学顕微鏡で確認したところ、平坦化によって端面の波打ちが劇的に改善されている様子が確認できた。平坦化処理を行って製作したメタマテリアルは平坦化処理をしていないものに比べて、かなり広い面積にメタマテリアルを製作することができた。このように、メタマテリアルの製作技術は着実に進歩している。 また、今年度は屈折率センサのデバイスを試作し、特性評価を行うところまで進めることができた。特性評価の結果、測定結果は計算結果とよく一致し、設計通りにセンサが動作することを実証することができた。 以上のことから、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、製作した屈折率センサを用いて、メタマテリアルと細胞との結合状態を屈折率変化による光学特性のシフトとしてとらえるバイオセンサへの実証実験を進めていく。また、ガスセンサへの応用を目指した新たなメタマテリアルを設計し、試作および評価を行っていく。
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Research Products
(9 results)