2016 Fiscal Year Annual Research Report
ダイヤモンド半導体への高効率スピン注入と低損失スピン輸送
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16H04348
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
植田 研二 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (10393737)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | スピン注入 / ダイヤモンド半導体 / 強磁性体 / ハーフメタル / スピン輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はダイヤモンドへの高効率スピン注入技術の探索と共に、低損失スピン輸送のキー技術となる高品質ダイヤモンド半導体作製用CVD装置の立ち上げを行った。装置導入後、新CVD装置でのダイヤモンドの成長条件を検討した所、不純物量の少ない高品質ダイヤモンド薄膜が、900℃、メタン0.1%+水素(50Torr)の条件下で得られる事が分かった。次に、高効率スピン注入について①磁性半導体、②グラフェン層、③ハーフメタルトンネル接合をスピン注入源に用い、注入効率を向上させる事を検討しているが、①に関してイオンビームスパッタ法を用いたホイスラー磁性半導体(スピンギャップレス半導体)Mn2CoAl(MCA)の高品質薄膜の作製に成功すると共に、MCAを用いたFET構造でゲートバイアスの印加によりキャリア極性等の制御が可能である事を見出した(論文投稿中)。これはMCAのスピン注入源としての可能性を拡げる結果である。また、②に関して高品質グラフェン層をダイヤモンド上に作製する技術を開発し、両者の界面で特異な光伝導特性が出現する事を初めて見出した(Appl. Phys. Lett.にて論文発表済)。今後、グラフェンを介したダイヤモンドへの高効率スピン注入へ繋げていく。③と関連してCo2MnSi(CMS)ハーフメタルを用いたダイヤモンドへのスピン注入に関し、CMSの成長条件の更なる最適化によるスピン注入効率の改善を試みたが、3端子ハンル測定から得られたスピン注入信号は以前より微増したのみで大きな改善は見られなかった。スピン注入効率が改善しない原因として、CMS/ダイヤモンド界面で、両者の大きなミスマッチに由来する界面欠陥の残存が考えられる。今後、両者にマッチングする絶縁層を導入し、界面整合性の向上を図っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ダイヤモンド半導体へのスピン注入効率改善の為のキー技術として計画立案の際に予定していたホイスラー磁性半導体、グラフェン/ダイヤモンド接合及び、高品質ダイヤモンドの作製技術は本年度の研究で立ち上がっている。ハーフメタルトンネル接合を用いたスピン注入効率に関して改善の余地はあるが、おおむね順調に計画が進んでいると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の結果を踏まえ、更にスピン注入の高効率化を図ると共に、最も有望な手法を用いてスピン注入を行い、ダイヤモンドのスピン輸送特性について調査する。δドープ層(極薄の高濃度ドープ層)を磁性電極と低濃度ドープダイヤモンド層の界面に挿入する事で、スピントランジスタで大きなスピン注入信号を得る鍵となる高スピン注入効率と低損失スピン輸送の両立を図る。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Magnetization reversal of the domain structure in the anti-perovskite nitride Co3FeN investigated by high-resolution X-ray microscopy2016
Author(s)
T. Hajiri, S. Finizio, M. Vafaee, Y. Kuroki, H. Ando, H. Sakakibara, A. Kleibert, L. Howald, F. Kronast, K. Ueda, H. Asano, and M. Klaui
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Journal Title
J. Appl. Phys. 119
Volume: 119
Pages: 183901-1-6
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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