2017 Fiscal Year Annual Research Report
立体湾曲シリコン導波路を用いた革新的空間光学の開拓
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16H04359
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
榊原 陽一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 総括研究主幹 (40357091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渥美 裕樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (30738068)
吉田 知也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (80462844)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | シリコンフォトニクス / 空間光学 |
Outline of Annual Research Achievements |
最近シリコンフォトニクスの空間光学への研究展開が海外で活発化しているが、基板面から面外方向に光を取り出すために回折格子カプラを用いている。本研究は、研究実施者らが最近開発した立体湾曲シリコン導波路カプラ(エレファントカプラ)をアレー状に複数個並べて面外方向に光を取り出し、光ビームをステアリングする新しい素子の基盤的研究を遂行することを目的としている。エレファントカプラは、回折格子カプラにない本質的特長(点光源性、小さな配置間隔が可能)があり、それによりステアリング角度が大きくビームの収束性のよい独創的なデバイスが実現できると期待される。 本研究を遂行する過程で、このようなステアリング素子を実現するためには、エレファントカプラから出射する光ビームの空間的広がり方を制御できる技術を確立することが重要であることが分かった。そこで2017年度は3次元FDTD法による数値解析手法により、エレファントカプラ中での光の伝搬挙動を丁寧に解析した。その結果、立体湾曲シリコン導波路の先端部を、長さ数マイクロメートルのうちに幅が数十nmまで漸減するような逆テーパ構造とし、その周囲を厚さ2~3マイクロメートル程度の酸化膜で等方成膜して頂部に微小レンズ構造を形成すると、逆テーパ構造から放射した光が頂部レンズで集光され、ビームウェスト幅が5マイクロメートル程度の擬ガウシアンビームを形成可能であることが明らかになった。そこでこのような構造の試作にも取り組み、実際にこのような構造が製造可能であり、またそこから放射される光ビームの空間的広がり方は数値解析法による予想とよく一致することが確かめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
エレファントカプラ加工の中核プロセスであるイオン注入は、当初計画では産総研中央地区にある装置を存分に使用する予定であったが、頻繁に故障し最終的には廃棄処分となってしまったため、現在は東北大学の共用装置を利用している。しかし、使用環境の調整や新たな条件出し、遠路の往復や費用負担の増加などの理由により研究進捗に大きな影響が出ている。イオン注入実験の回数を減らして研究を進めるように方針を変更したため、当初計画から考えると進捗はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画で前提としていた産総研のイオン注入装置が利用できなくなってしまったことは極めて大きな研究環境の変化であるが、東北大学の共用装置の利用等でできる研究内容を精査し、できるだけ当初の目的の趣旨に沿う研究を展開していく。また、出射する光ビームの空間的広がり方を制御できる新技術を活用した研究展開を推進する。
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Research Products
(7 results)