2018 Fiscal Year Annual Research Report
アレーアンテナを用いた人物のバイタルサイン非接触検出技術の確立
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16H04360
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
本間 尚樹 岩手大学, 理工学部, 教授 (70500718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西森 健太郎 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (90500611)
竹村 暢康 日本工業大学, 基幹工学部, 准教授 (90747023)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | MIMO / バイタルサイン / センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではアレーアンテナの信号処理技術を応用することでマイクロ波を用いた高感度バイタルセンサを実現することを目的としている。本年度は,バイタル情報一つとして,血圧と電波の波形応答との相関特性について検討を行った.検討の結果,心拍周波数の高調波成分に対応する電波のドップラシフト成分の時間変動が,収縮期血圧値の時間変動と相関が見られることが明らかになった.しかしながら,被験者により相関が強く表れる高調波の次数が異なることも判明したため,この点に関しては更なる検討が必要であり,次年度以降も引き続き検討を継続する.また,心拍波形と電波の応答波形の関係について考察を行ったところ,これまでは電波の応答波形の位相にバイタル成分が多く含まれると考えられていたが,振幅成分に心拍成分が強く含まれることが初めて明らかになった.一方,呼吸成分や体動成分は位相成分に顕著に表れている.これは,心拍と呼吸が全く異なるメカニズムで電波の反射成分に影響することが原因であると考察している.また,これまでは呼吸成分の高調波が心拍と重なるため,心拍と呼吸の明確な分離をすることは困難であったが,位相と振幅に分離することで,呼吸や体動の影響を容易に避けることが可能となることが明らかになった.さらに,遠方の人物のバイタルサインを抽出する方法として,ビームフォーミングによって感度を高めながら検出する方法についても取り組み,実環境で検出感度を向上できることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに検討は進捗している.電波の波形応答の振幅と位相成分に着目することで,体動や呼吸等の体表面変位に起因するドップラ成分と,脈拍など体表面の反射係数そのものの変化による成分とを分離できることが明らかになったことは特筆すべき成果であると考えられる.これまでは体動のある場合は電波によるバイタル成分の検出は困難とされてきたが,今回の成果はそれを解決する強力な手段となる.また,ビームフォーミングによるバイタル成分検出性能の向上効果を確認できたことも当年度に得られた一つの成果である.以上の理由から,研究全体は順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
これまで検討を行ってきたバイタルサイン検出については引き続き検討を進め,より正確かつロバストにバイタルサインを検出できる方法について検討を行う.さらに,これまで得られた知見を応用することによって,生体の行動の識別や,生体認証への拡張法についても検討を行うものとする.具体的には,電波応答を学習させることによって,行動や個人の特徴を認識する.このような方法について検討を進め,バイタルサインの非接触観測だけではなく,その応用技術についても検討を広げる.
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Research Products
(3 results)